(社会新報2021年5月26日号3面より)
子どもの声、若い人の声をどうやって聞き、それをどう生かしていくかと悩む毎日です。3月に札幌地裁で同性婚の違法判決が出たとき、今まで動いてきた知人のことを思い、やっとここまできたとうれしくなり、7歳のわが子に話しました。
「あなたも何か困ったり、おかしいなと思うことがあったら、裁判に訴えることもできるからね。ママとパパはそれを応援するよ」と伝えると「え? 僕が? そんなことあるかな?」と答えたことに、私は驚き、少しがっかりもしました。子どもも困ること、悩むことはあるだろうし、それを変えていく力があると、私は信じているからです。そして他者の権利獲得の話を聞いたとき、自分の身にも起こるかもしれないと感じてほしいと思っていたからです。
誰でも幸せになる権利があって、声を上げることができ、社会を変えていくことができる。これからは子どもと権利の話をもっとしていこうと思いました。
「権利条約」を読む
子どもの日に、一緒に「子どもの権利条約」を読みました。第3条「子どもにもっともよいことを。子どもに関係のあることを行なうときには、子どもにもっともよいことは何かを第一に考えなければなりません」。
5歳の娘が「じゃあ、お買い物に行くとき、私の好きなもの絶対に買うってことだよね」の一言。そういうことじゃない! どうしようと思っていたら、第5条「親の指導を尊重。親(保護者)は、子どもの発達に応じて、適切な指導をします。国は、親の指導を尊重します」とあります。「ママはあなたが幸せに、安全に、成長するための責任があって、やりたいことを大切にしつつ、話し合いをしながら、いいこと、いけないことを決めるんだよ。だからお買い物でも、話し合うのが大事だし、ママの言うことも聞いてね」と付け加えます。
子ども向け情報を
第17条「適切な情報の入手 子どもは、自分の成長に役立つ多くの情報を手に入れることができます。国は、マスメディア(本・新聞・テレビなど)が、子どものためになる情報を多く提供するようにすすめ、子どもによくない情報から子どもを守らなければなりません」。新型コロナウイルスの感染者数が増える中、子ども向けの情報はほとんどないのに、子どもや若い人が感染源、という話もよく聞きます。正しい情報がないことで、不安を抱える子どもが増えているかもしれません。コロナに関しても、子どもを大切にした、子ども向けの情報が必要です。子どもの権利について、みなさんも考えてみませんか?
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いぜな・なつこ 1982年、沖縄県生まれ。コラムニスト。神奈川県在住。東京新聞などで連載中。骨の折れやすい障害で電動車いすを使い、ヘルパーに支えられながら2人の子育てをこなす。早稲田大学卒業、香川大学大学院修了。米国、デンマークに留学。著書に『ママは身長100㎝』。社民党全国代表者会議で党常任幹事に就任。