(社会新報2021年9月8日号2面より)
社民党の福島みずほ党首は8月26日の参院厚労委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルスの変異ウイルス「ラムダ株」に関し、日本で初めて感染が確認されてから菅義偉首相と加藤勝信官房長官に報告されたのが3週間後の8月13日だった事実を厚労省答弁から引き出し、厳しく批判した。田村憲久厚労相への報告はさらに遅く同月16日だった。福島党首は「余りにも遅く、余りにもひどい」と政府の危機管理のずさんさを厳しく指摘した。
ラムダ株はコロナの変異ウイルスの一つで、最初にペルーで見つかり、南米から世界に広がっている。感染しやすく、免疫から逃れやすい可能性が指摘されている。6月に世界保健機関(WHO)がラムダ株を「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。
日本で初のラムダ株感染は7月23日、ペルー滞在歴のある東京五輪関係者の女性だった。福島党首は、国立感染症研究所が同日に厚労省に報告済みだったと指摘し、公表の遅さをあらためて批判した。厚労相は「報道で知り、事務方に確認した。今後は公表する」と苦しい釈明に終始した。
福島党首は「(ラムダ株に感染した)この女性は飛行機で来ている。濃厚接触候補者は49人で、この49人にラムダ株の感染があったかどうか検査で確認したのか」とただした。これに対して佐原康之政府委員は「機内濃厚接触候補者につきましては厚労省では一覧を自治体に送付していなかったことが判明し、8月18日にプレスリリースした」と釈明した。つまり厚労省が濃厚接触候補者の情報を自治体などに伝えていなかった。
福島党首は「外国メディアは、7月23日が五輪開会日であり、ラムダ株の国内初感染を隠ぺいしたと断定している。隠ぺいを猛省すべきだ」と訴えた。
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