社会新報

ロシア軍は原発占拠やめよ、ウクライナから即時撤退を〜さようなら原発1000万人アクションが緊急行動〜

(社会新報2022年3月23日号1面より)

 「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」は5日、東京の代々木公園で「ロシアはウクライナ侵攻をやめろ!原発を攻撃するな!さようなら原発3・5緊急行動」と題した集会を開催し、約600人が参加した。緊急行動は、緊迫するウクライナ情勢を受け、①ロシアのウクライナの軍事侵攻に反対し、市民の命を守ることを訴える②チェルノブイリ原発の軍事占領に反対し、他の稼働中の原発・原子力施設への攻撃中止を訴える③ロシアの核兵器の使用・威嚇を止めることを訴える――という趣旨で呼びかけられた。

蒲田慧さんが「核兵器も原発も戦争もない社会を」と訴えた(5日、東京・代々木公園)。
   
 集会では最初に、呼びかけ人を代表して作家の鎌田慧さんが発言。「これまで原発と戦争を一体として考え、共になくすために闘ってきたが、プーチン大統領がウクライナの原発を占領するなどという事態は考えられなかった」としながら、「私たちは原発反対運動で世界と連帯してきた。その力によってロシアのウクライナ侵攻を止め、共に核兵器も戦争もない平和な社会を目指し、命を守る運動を進めていこう」と参加者に提起した。
 さらに鎌田さんは、「戦争のために人が死ぬようなことは、決してあってはならない。今こそ憲法9条を守り、戦争はしない、参加しない、阻止するという決意を固める時だ」と指摘した。
 続いて、原子力資料情報室の高野聡さんが発言。ウクライナでは出力100万㌔㍗の世界最大級を含む15基の原発が運転中で、電力の半分以上を原発に依存しているため、戦争状態でも簡単に止められない事情を解説した。

ザポロジエ原発の危機

 また高野さんは、巨大なザポロジエ(ザポリージャ)原発が4日に攻撃を受け、火災が発生したという報道に触れ、「戦時下では予測不能な事態が起きる。送電網の破壊や冷却水装置の打撃、攻撃による運転員の退避といったケースになれば、シビア・アクシデントに至る可能性が高い。最悪の場合、砲撃によって原子炉が破壊される事態も想定され、ザポロジエ原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発事故の10倍の被害が出るという予測もある」と述べ、ウクライナの原発が置かれた危機的状況を報告した。
 さらに、この戦争が日本に与えている教訓として、「原発のある国での戦争は、核爆弾がなくとも核戦争に発展する。だからこそ平和のうちに、すべての原発を速やかに閉鎖すべきだ」という点を挙げた。
 次に、「チェルノブイリ子ども基金」の向井雪子代表が、1986年に起きた同原発事故により健康を害したウクライナやベラルーシ、ロシアの子どもたちを保養で受け入れるなど、さまざまな支援を実施してきたこれまでの活動を紹介。
 「私たちの支援により15歳で日本に保養に来た男の子が青年になり、戦争が起きても(銃を取らねばならないため)国外に出られない状態になっている。病気を抱えており、日本での受け入れを打診してきたが、心配だ」と語り、戦火が同「基金」と関わりのある多くの市民にも影響を及ぼしている現状を紹介した。

右派の核共有論許さぬ

 その上で向井代表は、政府に対し「原発事故で病気を負わされた人々も日本に避難できるよう、考慮してほしい」と求めた。
 最後に、「フォーラム平和・人権・環境」の藤本泰成共同代表がマイクを握り、ウクライナ情勢を口実に右派が「核シェリング(核共有)」論を持ち出し、「核兵器がないと日本は守れない」「憲法9条では日本は守れない」といった宣伝を流している現状に警鐘を鳴らした。「権力者は、戦争に行かない。安保関連法を強行採択させた安倍晋三元首相が、戦争に行くのではない。行くのは罪もない一般の国民だ」と改憲勢力の策動を批判し、「二度と戦争をしてはいけないという内容の第1次世界大戦後に生まれたパリ不戦条約の精神は、憲法に生きている。今こそ憲法を守ろう」と呼びかけた。
 集会後、参加者らは都内をデモ行進し、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を訴えた。
デモ行進する集会参加者たち。

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