社会新報

【主張】日本国憲法の先見性 ~不戦9条の真価がいま発揮される時~

(社会新報2022年5月11日号3面【主張】より)

 

 ロシア軍によるウクライナ侵攻で国際社会に激震が走った。戦端が開かれてから2ヵ月余り。戦争の長期化、「核大国による全面戦争」すら懸念されている。

 日本国内ではウクライナでの事態を受け、「平和憲法を持つ日本が軍事大国になる」(防衛ジャーナリスト・半田滋さん)という危険な動きが顕著だ。

 自民党の安全保障調査会(会長=小野寺五典元防衛相)は4月21日、敵のミサイル拠点をたたく「敵基地攻撃能力」について、名称を「反撃能力」と変えた上で保有するよう政府に求める提言案をまとめた。

 また攻撃対象に「指揮統制機能等」を含める他、防衛費について「5年以内に…必要な予算水準の達成をめざす」としてGDPの2%以上を目標にするとしている。

 ウクライナの事態で日本政府がしたことといえば、ロシアへの非難と経済制裁、関連する国際会議への参加の他にはウクライナからの避難民20人の受け入れ、軍需物資である防弾チョッキの支給などだろう。

 安倍晋三氏は首相在任中にプーチンロシア大統領と27回も会談し、「シンゾー、ウラジーミルと呼び合った仲」と自慢していた。ところが、この肝心な時に何の役割を果たせないどころか、「核共有」などという暴言を吐いた。

 自民党や自公政権に局面を打開する外交努力は全く見えない。一方で元自民党総裁の河野洋平氏は、南西諸島の情勢に触れながら「緊張緩和のため、日本側から積極的に、南西諸島を非武装地域としていく提案を行なってはどうか」(『世界』4月号)と提案した。傾聴に値する。

 またロシアへの経済制裁は、ロシアの人々だけでなく日本を含む他国民の生活を直撃している。燃料の高騰は物価を押し上げ、小麦の価格は過去最高に達した。これ以上犠牲が拡大しないため一刻も早く戦争をやめさせなければならない。

 日本国憲法は施行75周年を迎えたが、こうした現実を見たとき、その先見性は明らかだ。

 安保法制違憲訴訟の原告代理人の一人である杉浦ひとみ弁護士は指摘する。「今、まさに武力で争うことの実態が示されている。武力で戦うことの悲劇と損害は『戦わない』方法で回避すべきだという9条の真価が突きつけられている」(『ℐ女のしんぶん』4月25日号)。憲法記念日にあたり、あらためて確認したい。

 

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