社会新報

【主張】防衛産業強化法案~武器輸出促進と軍事工場国有化を許すな

(社会新報5月24日号3面より)

 

 多くの市民たちの怒りの声を全く無視して、入管法改悪案が9日、与党などの賛成多数で衆院本会議を通過した。すぐさま、社会民主党など4党1会派の議員立法で難民保護等の対案を参院に提出し、徹底抗戦の構えをみせた。
 ところが、その傍らで、もう一つの問題法案が同日の衆院本会議の冒頭で、すんなりと通過してしまった。それが防衛産業強化法案である。
 同法案は、昨年12月に閣議決定された「安保関連3文書」の一つ「国家防衛戦略」で打ち出した持続可能な防衛産業の構築、販路拡大を政府が支援するための法案である。
 同法案は、日本が戦後堅持してきた平和国家のあり方を大きく転換するものであり、社民党は強く反対するものである。
 同法案の趣旨は、①基盤強化の措置。サイバーセキュリティ強化などに取り組む防衛関連企業への財政的支援②装備移転円滑化措置。装備品等の海外輸出に取り組む企業に助成金支給③製造施設等の国による保有。事業継続が困難な企業の施設・設備を国が取得し、民間へ管理委託④装備品等契約における秘密の保全措置-防衛装備品等に関する情報漏えいへの罰則など。 防衛産業の事業継承が困難になった施設・設備を国が取得することが可能となり、戦前の軍管理工場の復活につながる恐れがある。
 また、武器の性能などの秘密を故意に漏えいした場合に刑事罰を設けるが、処罰の対象とされる「装備品等秘密」の要件が曖昧であり、「企業版秘密保護法」となる恐れがある。
 さらに、武器の海外輸出を進めるために企業への助成も可能となる。
 現在、日本では、防衛装備移転三原則に基づき、戦車等の殺傷能力を有する武器輸出は米国などの「国際共同開発・生産」の場合に限定しており、弾薬の提供は物資融通を取り決めている国に限定。取り決めのない国への輸出は「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5分野に限る。
 政府は同法案の成立後、殺傷能力を有する武器の輸出を限定していた防衛装備移転三原則の緩和も目指している。それは、憲法9条を持つ日本が決して武器輸出で利益を得る「死の商人」国家にはならないと誓った戦後の平和理念を破壊するものである。
 日本を「新たな戦前」にさせないために、社民党は同法案の成立阻止を目指して全力を尽くす決意だ。

 

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