社会新報

非武装の9条を守り抜く ~憲法大集会 有明防災公園に15000人~

(社会新報2022年5月18日号1面より)

 

憲法施行75年周年の記念日である5月3日、全国各地で憲法擁護の集いが取り組まれた。東京・江東区の有明防災公園で「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし2022憲法大集会」が開催され、1万5000人が参加した。コロナ禍で3年ぶりの取り組みとなった。ロシア軍のウクライナからの即時撤退を訴え、この戦争を奇貨として改憲や核共有を与党などが声高に叫ぶ状況下、参院選で改憲勢力を打ち破り改憲を阻止することを誓い合った。

 

 

 主催した5・3憲法集会実行委員会の藤本泰成さん(平和フォーラム共同代表)があいさつ。ロシアの侵略行為は国連憲章違反であり直ちに撤退をと強調。これに乗じた敵基地攻撃能力の保有や「核共有」論を批判し、「今こそ憲法が掲げる平和主義、9条の精神が必要とされている。憲法の意義を問い直そう」と訴えた。

 社会民主党の福島みずほ党首が、連帯のあいさつに立ち、ロシア軍によるウクライナ侵略について「侵攻が始まって2ヵ月余りが経過する中で施行75周年の憲法記念日を迎えた。ロシア軍の行為は、国際法を無視する暴挙であり、直ちにウクライナから撤退すべきだ」と強調した。その一方で、ウクライナ戦争を奇貨とした日本国内の与党などの動きについて、「『専守防衛』をはるかに超える軍事大国への動きが起きている。自民党の安全保障調査会は4月21日、敵のミサイル拠点をたたく『敵基地攻撃能力』について名称を『反撃能力』と変えた上で保有するよう政府に求める提言案をまとめた。いかに言葉を言い換えようと、本質は先制攻撃であり、断じて認められない。安倍元首相らに至っては核シェアリングを主張し、国是といわれる非核3原則を否定している」と厳しく批判した。

輝きを増す憲法9条

 そして福島党首は「ウクライナ戦争の現状をみたとき、非武装・非戦の日本国憲法の先見性は明らかだ」として、輝きを増す憲法の大切さを強調した。

 最後に福島党首は、「社民党は7月の参院選で立憲野党との協力を深めながら勝利し、改憲勢力の議席を3分の2以下に抑え、平和憲法の擁護と暮らしに生かす政治を実現することを決意する」と締めくくった。

 福島党首の他、野党から立憲民主党の奥野総一郎国対委員長代理、日本共産党の志位和夫委員長があいさつし、参加者と一緒に「守ろう平和・いのち・くらし」と書かれたプラカードを掲げた。また、れいわ新選組の櫛淵万里衆院議員の秘書が紹介された。

 集会実行委の菱山南帆子さんが、ウクライナ特別アピールを読み上げ、参加者の拍手で採択された。

安心供与と抑止の関係

 続いて、各界の市民らがスピーチした。市民連合の中野晃一上智大学国際教養学部教授は「『安心供与』が『抑止』とセットでないと抑止が効かない。9条を守って『安心供与』をやって初めて安全保障政策として成立することも併せて伝えていきたい」と指摘した。

 ジャーナリストの竹信三恵子さんは「憲法9条は不戦の誓いであると同時に、国のお金を軍事ではなく、社会保障など私たちの生活のために使う仕組み。私たちの生活を考えるからこそ9条をなくしてはいけない」と訴えた。

 改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長の大江京子弁護士は「敵基地攻撃能力保有は全面戦争を呼び込み、国民の命を守れない」と述べた上で外交努力の必要性を強調した。

 フリーライターの小川たまかさんは「声を上げることでたたかれる女性を見て、口をつぐむ女性がたくさんいる。女性のみなさん、前に出てしゃべろう。それが憲法14条(法の下の平等)の理念を守ることだ」と語った。

 

↑連帯のあいさつを行う福島党首。「政治の最大の役目は戦争をしないために外交努力することだ」と強調した(3日、有明防災公園)。

 

↑演壇でプラカードを掲げる(右から)福島党首、志位共産党委員長、奥野立憲民主党国対委員長代理。

 

↑デモの最前列で横断幕を持つ、実行委の藤本泰成さん(中央)ら。

 

↑国際展示場駅前で街宣活動。東京、千葉、神奈川、埼玉の党代表らも訴えた。

 

 

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