社会新報

【主張】「Dappi」疑惑の追及を-自民党が野党攻撃ツイートに関与し世論操作-

(社会新報2021年11月17日号3面《主張》より)

 

野党議員やマスメディアに対して誹謗(ひぼう)中傷の投稿を繰り返していたツイッターアカウント「Dappi」に自民党本部が関与していたとの疑惑が発覚し、波紋を広げている。

「Dappi」は2019年6月に開設され、フォロワーは約17万6000人。「Dappi」は2年間で5000件以上ものツイートを発し、野党を攻撃し与党を礼賛してきた。

社民党に対しては、2019年11月4日のツイートで、衆院憲法審査会の性急な始動をけん制した社民党の照屋寛徳衆院議員(当時)を名指しで批判し、「国民世論を捻(ね)じ曲げてまでサボろうとする野党はタチ悪い」などと中傷している。

マスコミで取り上げられて以降、10月1日を最後にツイートは休止している。

自民党関与疑惑の発端となったのは、20年10月25日のツイートで、財務省の公文書改ざんをめぐる問題に関し、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊(つ)るしあげた翌日に自殺」と書き込んだことだ。

このツイートに対して、小西、杉尾両参院議員は、自殺した財務省近畿財務局の職員に説明を求めたり面会したりした事実はなく、ツイートによって名誉を毀損(きそん)されたとして、投稿者の開示を求める手続きを始めた。東京地裁は今年9月、プロバイダーに発信者の情報を両議員に開示するよう命令。その結果、発信者がW社であることが判明した。

W社は、01年の設立で、民間信用調査会社によれば従業員15人。昨年の売上高は2億1000万円。業務内容はウェブサイトの企画、制作。取引先は「自由民主党」などである。

政治資金収支報告書によれば、自民党東京都連と小渕優子衆院議員の資金管理団体「未来産業研究会」がウェブサイト作成費などの名目でW社に支出した額は、13年から19年までに合計1100万円近くにも及んでいる。

さらに、W社の社長が自民党本部の元宿仁事務総長の親族であることが報道で明らかになっている。元宿氏は自民党の金庫番として資金集めでは中心的な役割を担い、裏の仕事をすべて仕切る実力者だ。

自民党本部が政治資金を使い、同党事務総長の親族企業に野党への誹謗中傷ツイートをやらせ、世論操作をしていたとなれば、民主主義を阻害する重大な事態だ。国会での徹底解明が求められる。

 

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