社会新報

学術会議の独立性を脅かす~歴代会長5人が法改正案に抗議声明

会見する(右から)大西、広渡、黒川の各歴代会長(2月14日、日本記者クラブ)。

 

(社会新報3月1日号3面より)

 

 今通常国会に3月にも提出が予定される日本学術会議(以下、学術会議)法改正案は、学術会議の独立性と自主性を脅かす極めて危険な内容だ。
 2月14日、日本記者クラブ(東京・千代田区)で学術会議の広渡清吾東大名誉教授ら歴代会長5人が、岸田首相に対して、学術会議法改正案を「根本的に再考することを願う」とする声明を発表した。
 5人とは、1997年から2020年に会長を務めた吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極壽一の各氏。声明は5人の連名で学術会議の独立性について「ときどきの政府の利害から学術的に独立に自主的に行なわれるべきもの」と強調し、「政府が恣意(しい)的に変更してよいものではない」と批判している。
 会見に臨んだ広渡さんは、改正法案の会員選考方法について、「軍事研究が進む弊害がある。法改正は学術会議が積み上げてきた地位を毀損(きそん)する」と指摘した。
 東京大学名誉教授の大西さんは、政府の第三者委員会が会員選考に関与することについて「独立性が疑われる。アカデミーとしてこれまでのように海外から評価を受けることができるか危うい」と述べた。
 学術会議は、戦後の平和的な復興などを目指して1949年に発足した科学者組織。「学者の国会」ともいわれる。
 首相所轄の下、政府から独立して職務を行なう「特別の機関」。210人の会員のほか、約2000人の連携会員で構成される。主な役割は、政府に対する政策提言や、科学者間のネットワーク構築など。会員の半数は、3年ごとに入れ替わる。任期は6年だが、定年は70歳。会員は、非常勤の国家公務員。給料はなく、手当や旅費のみが支払われる。太平洋戦争の前に学者や研究者が国家に利用されたことへの強い反省に基づき、「職務は、独立して行なう」と学術会議法3条で規定されている。
 今回の改正法案では、学術会議の会員の選考方法を改悪しようとしている。
 現在の仕組みは、現会員が次の会員候補数人を推薦し、そこから選考委員会が選考するコ・オプテーション方式と呼ばれる。
 改正法案では、コ・オプテーション方式を採らず、第三者からなる「選考諮問委員会」を設置して会員選考に関与させ、学術会議の評価も行なわせる。そして、首相に推薦候補者の任命権と拒否権を持たせる内容となっている。

 

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