(社会新報7月4日号3面)
戦後79年、被爆79年の夏を迎えた。原水禁世界大会に向けた準備が本格化している。
2021年1月に発効した核兵器禁止条約は今年1月現在、70ヵ国が締約し、来年3月には米ニューヨークで第3回締約国会議が予定されている。
「唯一の戦争被爆国」である日本の政府は、条約に署名も批准もしていない。平均年齢が85・01歳(23年3月現在)となった被爆者からは、落胆と怒りの声が上っている。
6月19、20日に総会を開いた被団協(日本原水爆被害者団体協議会)は、「再び被爆者をつくらない」ことの道筋として「核兵器の廃絶」と「原爆被害への国家補償」を求めることを確認した。
また原水禁国民会議は4月に第100回全国委員会を開き、金子哲夫共同議長は「被爆80周年となる来年には日本政府に核兵器禁止条約を批准させなければならない」と呼びかけた。
一方でウクライナやパレスチナ・ガザでの戦争は長期化し、核使用をほのめかす政治家の発言もある。日本政府は声高に「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」をあおり、大軍拡を進めている。
日本の現状はウクライナやガザと無縁だろうか。私たちはあらためて、戦争とは何か、被爆とは何か、人々に何をもたらすのかをつかみ、反核・平和の声を広げることが求められている。
広島、長崎の被爆者の一人ひとりに家庭があり、日常の生活があった。それが1発の原子爆弾で一瞬のうちに破壊された。「水をください」と叫びながらかなわず亡くなった被爆者。被爆が理由で婚約が破談となった被爆者。生き延びた被爆者も、後遺症や差別に苦しんだ。
こうした被爆の実相を知れば、「戦争は絶対にしてはならない」という確固たる信念を持つことができる。戦争を知らない世代に広げていきたい。成果を挙げている高校生平和大使の取り組みに学びたい。
原水禁運動の課題は核兵器廃絶、被爆者支援にとどまらない。岸田政権は原発の再稼働から増設にまで踏み込もうとしている。東電福島第1原発事故や今年1月の能登半島地震に何を学んだのか。怒りが込み上げる。
原水禁大会は、7月28日の福島大会を皮切りに、広島大会が8月4日から、長崎大会が7日から3日間、それぞれ開かれる。各地の活動を持ち寄り、交流し、運動を前進させていこう。