(社会新報2021年3月17日号2面より)
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は3月4日、衆院第1議員会館で記者会見し、原子力をめぐる世界の環境が大きく変化する中、日本のエネルギー政策への提言を発表した。
記者会見には、提言を作成した座長の長谷川公一・東北大学名誉教授、さよなら原発1000万署名市民の会呼びかけ人の鎌田慧さん、藤本泰成原水禁副議長、原子力資料情報室の松久保肇事務局長らが出席。
原水禁は過去、05年7月、11年1月の2回にわたりエネルギー政策の提言を発表し、今回が3回目。
提言は、①日本は2030年までに原発をゼロ、石炭火力をゼロ、50年までにLNG火力をゼロを目指し、ポストコロナ時代のグリーン・リカバリー政策と位置付ける、②青森県六ヶ所村の再処理工場の建設を中止し、核燃料サイクル路線を中止する、③エネルギー多消費型の経済成長志向政策から脱却し、エネルギーの効率利用に向けて社会全体の構造的な転換を図る、などの8項目。
藤本さんは、現在の原発再稼働に向けた動きを批判し、「原発回帰はありえない。提言を新しい時代に向けて広げたい」と強調。鎌田さんは国の無責任な原子力政策を酷評した上で、「複数の首相経験者が脱原発を掲げている。再稼働を断念させる政治を」と語り、長谷川さんは「今年は総選挙の年。気候変動が争点にしたい。野党が脱原発・脱石炭の政策を」と訴えた。原水禁は今回の提言を全国会議員に投函する予定。