社会新報

新潟県で第60回護憲大会を開催~憲法理念を実現し戦争を止める

 

(社会新報11月30日号1面より)

 

 国内で憲法改正が声高に叫ばれ、世界中で戦争と環境破壊がかつてなく深刻化するなか、憲法理念の実現を目指す第60回大会(護憲大会)が11月11日から3日間、新潟市で開かれた。主催はフォーラム平和・人権・環境や地元実行委員会などで構成する大会実行委員会。11日に新潟県民会館大ホールで開かれた開会総会には1400人が参加した。
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 開会総会で主催者を代表してあいさつした藤本泰成実行委員会委員長(平和フォーラム共同代表)は「数を確保するだけの政治は破局をもたらす」と岸田政権の政治姿勢を厳しく批判した。そして「冷静に歴史と向き合い、何をなすべきか考えよう」と参加者に呼びかけた。
 地元実行委員会委員長の齋藤悦男新潟県平和運動センター議長に続いて社民党の福島みずほ党首(参院議員)が連合、立憲民主党の代表と共に、来賓としてあいさつ。

フリー・パレスチナを

 福島党首はまずパレスチナのガザ地区でイスラエルが進めている軍事侵攻を批判。「『ストップ・ジェノサイド(集団殺りく)、フリー・パレスチナ』を実現しよう」と訴えた。そして自民党政権のもとで軍拡が進んできたことを指摘した上で「沖縄が戦場にされようとしている。戦争を止められるかどうかの局面に立っている」として岸田政権の早期退陣を求めた。
 続いて「憲法審査会の現実と今後の私たちの取り組み」をテーマに、社民党や立憲民主党の憲法審査会委員をパネリストに迎えてシンポジウムが開かれた。社民党からは衆院憲法審査会委員の新垣邦男衆院議員が出席。名古屋学院大学の飯島滋明教授がコーディネーターを務めた。
 飯島さんは冒頭、「岸田首相は最近、『自衛隊を憲法に書き込む』と発言した。書き込まれれば徴兵制の根拠になる。今どう行動するか問われている。その中で衆参の憲法審査会の動きを知ることが大事だ」と述べた。

最高裁は「最低裁」か

 新垣衆院議員は「憲法審査会で『憲法を変えろ』の声がにぎやかなのにびっくりした。沖縄の現状を考えたら、改憲などとんでもない。改憲の前に日米地位協定を変えるべきだ」「最高裁が辺野古訴訟で不当判決を言い渡したが、沖縄では『最高裁は最低裁だ』との批判や憤りが高まっている」などと、沖縄の現状と民意とかけ離れた衆院での審議状況について発言した。
 大会最終日の閉会総会では、パレスチナ医療奉仕団の清末愛砂さん(室蘭工業大学大学院教授・北海道平和フォーラム共同代表)がイスラエルによるガザ地区攻撃の背景や国際社会の責務などを特別報告した。
 さらに地方からの特別提起として、①辺野古新基地建設の問題点と南西諸島の現状(沖縄)②福島第1原発からの放射能汚染水海洋放出問題(福島)③中間貯蔵施設の建設中止を求める取り組み(山口)ーーが報告された。
 なお平和・人権運動で功労のあった個人・団体に贈られる遠藤三郎賞は、新潟で活動する新潟水俣病共闘会議と灯の会、シネウインドの3団体が受賞した。
 大会は最後に、▽平和といのち、人権を大切にする政治と社会の実現▽米国追従ではなく、ウクライナ戦争やイスラエル軍のガザ地区への侵攻に対する平和憲法に基づく平和外交の推進を骨子としたアピールを採択した。
 次回の護憲大会は来年11月24日から3日間、岡山県で開かれる。