社会新報

「原発ゼロ」の決意を新たに-「さようなら原発」首都圏集会に1200人

(社会新報2021年4月7日号1面より)

 

福島第1原発の史上最悪レベルの事故から10年目の3月。菅政権は原発依存から脱却するどころか、温暖化防止を口実に原発を活用していく構えだ。こうした中、同月27日に東京で「さようなら原発1000万人アクション」の集会が開催され、約1,200人が参加した。

 

 

コロナ対策のために入場制限を行なった集会ではあるが、会場となった日比谷野外音楽堂の外にも、会場に入り切らない大勢の人々が、場内から聞こえてくるスピーチに耳を傾けた。
開会のあいさつを行なったのは、ルポライターで「さようなら原発」呼びかけ人の鎌田慧さん。「すいぶん悩んだが、やはり街に出て(原発)反対の意思を訴えようと思った」と、コロナ禍の中での集会開催に葛藤もあったことに触れつつ、事故10年の節目でのアピールの重要さを強調。「政府はまだ、2030年に原発を(電源構成比で)20%もやると言っている。とんでもないこと」と、脱原発に逆行する菅政権を批判。

 

澤地さんが反原発の志

また「脱原発署名運動も現在881万筆まで集まり、先日、国会に提出した」と報告。その後も続々と署名が集まっており、累計で1,000万筆を目指しているのだと言う。
現在90歳の作家で呼びかけ人の澤地久枝さんも、去年5月に転倒して背骨を折る大ケガをして以来、初めて集会に参加。「命のある限りは、反原発の志というものを一人でも多くの人々に伝えていきたい。特に10年前の事故のことも知らない若い人たちに語りかけていきたいと思っている」と決意を新たにした。
「原発の寿命を40年から60年にしようとして、いつ事故を起こすかもしれない原発を維持している、この国の政治に非常に憤りを感じている」と澤地さんは語った。
福島原発刑事告訴団事務局長の地脇美和さんは「先日、聖火リレーが強行されたが、原発事故はいまだ収束しておらず、原子力緊急事態宣言は今も発令されている。福島はオリンピックどころでねえ!」と憤った。地脇さんは、2019年9月に東京地裁で東電旧経営陣を無罪とする判決が出た福島原発刑事訴訟についても報告。「不当判決だ」と原発行政に忖度(そんたく)する裁判所を批判。同時に、「東電社員も津波対策の必要性を指摘していたにもかかわらず、旧経営陣らが多額な費用がかかることを理由に何の対策も行なわなかったことなどの事実が次々に明らかになった」と裁判の意義も語った。控訴審は今年夏に行なわれる予定とのことで、「多くの人々に関心をもってほしい」と呼びかけた。

 

電力料金上げる原発

城南信金名誉顧問で、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅さんは、「現在でも経済を理由に原発を支持する人々がいるが、原発ゼロにした方が経済が大発展する」と熱弁した。
「原発を続ければ核のゴミがたまるから電気料金が上がる。原発自体も安全対策で建設費がかつての3倍、1兆5,000億円かかるようになった。太陽光発電なら同じ発電規模が1,000億円でできる。太陽光パネルを農地に設置し、発電しながら作物をつくると、農家の収入が10倍になり、若者も地方に帰ってきて人口が増える地方経済が発展し、エネルギーが自給できて、危ない原発がなくなるから日本は安全になる」
東海第2原発運転差止訴訟原告代表の大石光伸さんは今年3月18日の勝訴を報告。「水戸地裁は東海第2原発を運転してはならないと命じた。住民側の勝訴だ」と話した。大石さんは判決の一部として「原発が人体に有害な物質を多量に発生させることは不可避で、過酷事故が発生した場合、周辺住民の身体・生命に重大かつ深刻な被害をもたらすことを本質的に内在するものである」などと読み上げ、「福島の人々の膨大な被害が判決の前提事実となっている」と語った。大石さんは「司法が現行法制下でできる限りの判決」と評し、「この判決を材料に議論を喚起し、各自治体で再稼働に同意しない運動を広げ、廃炉まで頑張ろう」と呼びかけた。
最後に、作家で呼びかけ人の落合恵子さんが発言。「私たちが目指すものは原発ゼロの社会。そして世界から核をなくしていく。当たり前のことをしよう」「私たちは負けるわけにはいかない。頑張ろう」と鼓舞した。
集会後、参加者と会場の外で待っていた人々が合流。「終わってない! 福島第1原発事故」などのプラカードを手に、約1,500人が東電前や銀座の街をデモ行進した。

 

東海第2原発

茨城県東海村にある日本原子力発電(日本原電)の原子力発電所。出力110kW。東電福島第1原発と同じ沸騰水型炉で、運転開始から43年が経つ。東日本大震災で外部電源を喪失し、自動停止してから運転停止が続いている。18年11月、原子力規制委が最長20年の運転延長を認め、19年2月に日本原電が再稼働意向を表明。22年12月完了予定で安全対策工事が進められている。21年3月18日、水戸地裁は、住民が東海第2原発の安全対策に問題があると訴えた裁判で、避難計画体制の不備を理由に、日本原電に再稼働を認めない判決を言い渡した。

 

「東海第2原発廃炉!」のプラカードを掲げた。(3月27日、東京・日比谷野音)。

 

約1,500人がデモに参加した(東京・銀座)。