社会新報

敵基地攻撃能力保有の危険性~半田滋さんが社民党政策審議会全体会で講演

防衛ジャーナリストの半田滋さん。

 

(社会新報1月11日号2面より)

 

 岸田政権は2022年12月16日、国家安全保障戦略など安保関連3文書を閣議決定した。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記し、2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1・5倍以上に増額させるなど、前のめりの姿勢を明確にした。

 これに先立つ12月7日、防衛ジャーナリストの半田滋さんが社民党政策審議会全体会で講演を行なった。

米兵器ツケが理由

 半田さんは閣議決定直前の政府・与党の動きを踏まえ、次のように語った。

「今までは『相手国から攻められた時に初めて自衛隊は武力で反撃できる』という専守防衛が前提だった。だがこれからは、相手国の攻撃着手を確認できたら、『専守防衛の枠内』としつつも長射程のミサイルなどで敵基地等を攻撃できるとした」

「今年5月の日米首脳会談で岸田首相は、日米同盟の拡大抑止と対処力を強め、日本の防衛力を抜本的に強化すると語った。首相は国内の議論より先に、米国に対して『公約』をした」

 防衛費の大幅増については、次のように語った。

「日本は(第2次)安倍晋三政権になって、(高い価格で)米国製兵器を爆買いするようになった。米オバマ政権時代から購入費を増やし始め、トランプ政権時にはドーンとさらに増やした。防衛省は『ツケ払い』ができる歳出化経費をどんどん増やした。内実はオスプレイ、グローバルホーク、イージス・アショアなど、国防にほとんど役立たないものばかり。しかも旧型だったりする」

「『敵基地攻撃が必要』というのは後付けの理屈にすぎない。安倍元首相が米国から買った『がらくた』のツケ払いが、真の理由だ」

米戦争同伴のリスク

 半田さんは、敵基地攻撃能力の保有の内実について、次のように語った。

「岸田首相は、存立危機事態に至った際の敵基地攻撃も可能と語っている。要するに、日本が武力攻撃されなくても、密接な関係にある他国、つまり米国が攻撃されれば、自衛隊は集団的自衛権を行使できると」

「だが、日本は限定的な敵基地攻撃能力しか保有できない。しかも、これまで専守防衛でやってきたため、どこに敵基地があるか分からない。だから、攻撃するには米国の情報をもらうしかない。つまり、存立危機事態でしか敵基地攻撃能力は使えない」

「台湾有事の際にこそ、日本は敵基地攻撃が必要な状況になり得る。中国は台湾に武力侵攻しても日本を戦争に引きずり込む理由はない。だが米国が介入すれば話は別だ。米軍が軍事攻撃されれば、日本は存立危機事態になり得る。沖縄の米軍基地が攻撃されれば、日本有事になる」

 日本政府は、「敵基地攻撃能力の保有は抑止力を高め、日本を安全にする」と主張する。だが、半田さんはこれまで述べた論拠などをもとに、次のように語った。

「今の政府は『軍事力強化』という一本足打法に傾斜しすぎている。戦争を回避する道は、外交を通じた信頼醸成しかない」

 

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