社会新報

在日クルド人への排斥やめて~日弁連がヘイトスピーチ問題で緊急集会

パネリストの各氏。(東京・霞が関の弁護士会館)

 

(社会新報9月26日号3面より)

 

 在日クルド人に対するヘイトスピーチが深刻化している問題についての集会が8月26日、東京都内で開催され、当事者や支援者らが声を上げた。主催は日本弁護士連合会。
 クルド人は、トルコやイラク、シリアなどの国々で暮らす民族で、特にトルコでは少数派として弾圧を受け続けている。日本にもトルコから避難してきたクルド人たちがいるが、その難民認定率はほぼゼロと、異常に低い。心無い人々による「不法滞在者は出ていけ」との在日クルド人へのヘイトスピーチがここ最近、増えている。
 集会で発言した大橋毅弁護士(クルド難民弁護団事務局長)は「問題は法務省側にある」と語った。「クルド人の難民認定申請は、他の先進国では結構な割合で認められているのに、日本だけが認めない。法務省はトルコの治安当局とテロ対策での協力関係があるために、トルコのクルド人迫害を認めないのではないか」。
 心無い人々の行為は、すでにヘイトクライム化している。「在日クルド人と共に(HEVAL)」代表理事の温井立央さんは、同団体に嫌がらせや脅迫の電話やメールが相次いでいると述べた。「脅迫メールの中には『クルド人を皆殺しにして豚のエサにしてやる』というものもあり、警察に通報した」(同)。
 ジャーナリストの安田浩一さんは「埼玉県南部にはクルド人による解体業者がいくつもあるが、外部から地方議員も含むさまざまな人物が嫌がらせに来る」と語った。「スマートフォンで写真や動画を撮影しながらつけまわす者たちがいるので、クルド人たちはおびえている」。
 「日本クルド文化協会代表理事」のチカン・ワッカスさんも「勝手に写真を撮られて、何の証拠もなく、『こいつらは女性を暴行した』とネットに流される」などの被害を訴えた。
 日弁連は、クルド人へのヘイトスピーチが関東大震災の際の中国人・朝鮮人虐殺のような事態に発展しかねないと懸念。ヘイトスピーチを防ぐため、明確に禁止条項と刑事罰のある禁止法や条例を作る必要性を訴えた。