社会新報

菱山南帆子さんの記念講演より~ジェンダー平等を実現し カルト金権政治の終焉を

ひしやま・なほこ 1989年、東京・八王子市生まれ。市民団体「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」事務局長、総がかり行動実行委員会共同代表。中学1年生の時にイラク戦争に抗議し、開戦日から3ヵ月間、米国大使館前に座り込みをして以来、平和運動の最前線で活動するようになる。著書に『嵐を呼ぶ少女とよばれて―市民運動という生き方』(はるか書房)、メールマガジン配信大手「まぐまぐ!」から自身のメールマガジンを配信中。

 

(社会新報5月30日号より)

 

 「ジェンダー平等実現は、金権カルト政治の終えんへの一里塚である」
 「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」共同代表の菱山南帆子さんが、去る4月19日、参院議員会館で講演した。立憲フォーラムと「戦争をさせない1000人委員会」が共催し、立憲野党の国会議員や多くの市民らが耳を傾けた。

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 菱山さんは仲間と共に、特に女性たちに目覚めてもらうための活動をしていると語る。
 「政治に興味がない、政治に関心を持つ余裕がない人たちに興味をもってもらうための、選挙に行ってもらって一緒に政治を変えていくための架け橋として、『フェミブリッジ』という活動をしています」

自民でも維新でもない

 自民党や、改憲に前のめりの日本維新の会には、「命と暮らしが守られる政治とジェンダー平等」を実現することは絶対にできないと確信している菱山さんたちは、「自民でも維新でもない私たちの選択肢」を一つのスローガンにしたと語る。
 菱山さんは「反ジェンダー平等と戦争政策は一体のものです」と強調。
 「私は1989年生まれ。中学生時代に『心のノート』が配られたんですね。この国を愛しこの国に生きる、家族は大事、家族はこうでなきゃいけないという教育勅語的なものが書いてあって、うわって思いました」「男らしく強い男性を育て、戦争をする国づくりにつなげようとしてるんじゃないかなと考えると、本当に反ジェンダー平等の動きというのは恐ろしいと思います」

ジェンダー平等は対抗軸

 菱山さんは、「ジェンダー平等の実現は、カルトに汚染された自民党政治との大きな対抗軸だと思っています」と語る。
 「カルト統一教会の一丁目一番地は反共・反ジェンダー平等。選択的夫婦別姓がいつまでたっても導入されないのか、1996年の法制審議会の中で導入が提言された。それから28年間ですよ。憲法審査会では、もう議論は尽くされた、早く改憲しようとか言っているのに。統一教会も、選択的夫婦別姓は家族を敵と考え家族を壊そうとしていると主張している。自民党の政治と統一教会はもたれ合っている。ここを正していかない限り、私たちにとっての本当の平等は訪れないと思っています」
 日本社会に根強く残るジェンダー不平等。市民社会も変わらないといけないと菱山さんは訴える。
 「この前、すごくびっくりしたんですけど、私がこういう話をしていたら、ある男性が急に怒り始めて『あなたみたいな話は男性がすべきなんだ。男性の方が影響力もあるのだから、男性が女性差別の話をしっかりすべきなんだ』と言い出すのです。私の講演とかに来る市民の集まりでも、こういうことを言う人たちがいるわけです」
 「他にも、地方講演に行った時、楽屋に突然入ってきた男性が、『チラシの写真を見て美人だな、いい女だなと思って今日は来た』とか言う。男性たちは女性をジャッジングする権利があるのかというところから考え直さなければならない。私が講演でこうしたことを言うと、しまったという顔をする男性たちもいますが、これが大事なんです。(元首相の)森さんとか麻生さんとかは反省しません。ちょっとずつ成長していくのが、私たちの最大の強みです」

明確な目標を語りかけ

 社会を変革するために必要なことは何か。菱山さんは「私たちがこういう社会にしたいと具体的に言うこと」だと訴える。
 「街頭宣伝で、『女性たちがもっと賃金を持てる社会にしようよ』『男性並みの賃金にしようよ』と訴えると女性の目が輝くわけです。女性が経済力を持ったら、もっと自由になる。多様な生き方が増えるということ。夢が広がるわけです。行きたい大学に奨学金とか気にしないで入れる社会にしようとか。社会がきちんと保障して自分の好きなことを学べるようにしていこうとか。自民党がやってくることへの打ち返しの市民運動だけじゃなくて、明確な目標を持つことが運動の大きな強みになると思うのです。人々の目が輝くような目標を、街頭や身の回りの人々に話しかけていくことが、私たちのやるべきことだと思います」
 菱山さんのエネルギッシュな熱弁に、会場から大きな拍手が送られた。
(文責は編集部)