社会新報

イスラエルはガザ虐殺やめろ~憲法公布77年 国会前大行動に4000人

福島党首は、「LOVE♥️憲法」のプラカードを掲げ、平和的生存権を保障する憲法を持つ私たちこそ、イスラエルに「ジェノサイドをやめろ」と声を上げるべきと訴えた(3日、国会正門前)。

 

(社会新報11月16日号1面)

 

 日本国憲法の公布から77年を迎えた11月3日、国会正門前で憲法大行動「つなごう憲法をいかす未来へ」が行なわれた。

 快晴の下、「9条壊すな 平和の礎」「ガザへの空爆をやめろ」などのプラカードや横断幕を掲げた人々が歩道を埋め尽くし、隣接する公園も含めて約4000人の参加者(主催者発表)で熱気にあふれた。主催は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「9条改憲NO!全国市民アクション」。

「ガザ休戦」棄権の愚

 オープニングの歌と主催者あいさつの後、国会議員からの発言が相次いだ。

 社民党党首の福島みずほ参院議員は、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザで行なっている軍事攻撃・虐殺について、「日本国憲法を持つ私たちこそ、『ジェノサイドをやめろ』『世界中の人たちが平和的生存権を有する』と声を上げるべき」と力を込めた。

 10月27日に国連総会で行なわれた「ガザでの人道的休戦」に関する決議で、賛成が121カ国という中で日本が棄権したことに対し、福島議員は「賛成すべきだった」と日本政府の対応を厳しく批判した。

 さらに、なし崩し的に進められる憲法破壊の現状に対し、「この流れを止めなければならない。私たちは憲法破壊も憲法改悪も許さない。憲法の価値を実現させていこうではないか」と熱く訴えた。

 参院会派「沖縄の風」の高良鉄美議員(憲法学者)も、「沖縄戦の教訓は『命こそ宝』だ。これは日本国憲法が中心概念として謳う『個人の尊厳』とも相通じる。日本がすべきは国連の場で停戦を提案することなのに、(ガザ休戦に関する決議案で)『棄権』したことは大きな問題だ」と日本政府の対応を批判した。

 この他、れいわ新選組、立憲民主党、日本共産党の国会議員も発言した。

男性中心の憲法破壊

 憲法学者で恵泉女学園大学教授の斉藤小百合さんは、先日の岸田内閣改造で副大臣・政務官54人のうち女性が1人もいなかった事実を挙げた上で、「男性中心主義や家父長制的な価値観のエッセンスが、力によって他者を支配することにつながっているのでは。このことは日本国憲法が大切にしているものと対極にある。だからこそ、彼らはこの憲法を変えたいと思っているのではないか」と指摘した。

 次のようにも語った。

 「多様性はパワーだ。その土台をつくっているのは、憲法13条〔個人の尊重など〕、14条〔法の下の平等など〕、24条〔家族生活における個人の尊厳と両性の平等〕だ。9条と共にこれら条項を解体してしまえば、ますます多様性が失われ、全ての人にとって生きづらい社会になってしまう」

自衛隊合憲の矛盾

 同じく憲法学者で日本体育大学教授の清水雅彦さんは、昨今の憲法9条切り崩しについて、「憲法学者の多数派は『自衛隊は違憲』と考えているが、政府はこれまで、さまざまな制約を作ることで『自衛隊は軍隊ではない』と説明してきた。だが、安倍晋三政権が集団的自衛権の行使を可能にしたことなどによって、これら制約は徐々に形骸化している」と語った。

 その上で、昨年12月に岸田政権が打ち出した「安保関連3文書」のうち「防衛費をGDP比2%にする」「日本または日本と密接な関係にある他国に対する攻撃の着手段階で、先制攻撃可能な反撃能力を持つ」という部分について、次のように矛盾を指摘した。

 「これでは防衛費が世界第3位の額になる。自衛隊を『戦力ではなく単なる実力組織』と言えるのか。加えて、自衛隊を違憲にしないために設けた制約を完全に取り払う『安保関連3文書』が、従来の政府解釈では『自衛隊は合憲』と説明できないものにしている」

 この他、沖縄・辺野古問題、福島原発事故汚染水の海洋放出問題、マイナンバー問題に関する当事者からの報告もあった。

 最後に、参加者一丸となって「戦争反対」「9条いかして平和を守ろう」「岸田政権、今すぐ退陣」などとコ—ルを繰り返した。