社会新報

武力で平和はつくれない~憲法大集会 有明防災公園に32000人

ステージに登壇して連帯あいさつをする福島みずほ党首。(5月3日、東京・江東区)

 

(社会新報5月16日号1面より)

 

 日本国憲法施行77周年の3日、青空の下、東京・江東区の東京臨海広域防災公園(有明防災公園)で第10回「武力で平和をつくれない! とりもどそう憲法いかす政治を 2024憲法大集会」が開催された。主催は「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会実行委員会」で、約3万2000人が参加した。
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 総がかり行動実行委員会の小田川義和共同代表は主催者あいさつで、「くらしの改善でも、ジェンダー平等でも、災害復興でも、最大の障害である自民党政治を終わらせるために力を寄せ合おう」と強調した。
 社民党の福島みずほ党首が登壇し、連帯のあいさつを行なった。「今は憲法の危機、平和の危機、人権の危機。この危機をみんなで一緒に乗り越えていこう」と訴え、改憲阻止に全力を尽くす決意を表明した。
 参院で審議中の経済安保新法案について党首は、「経済分野の多くの民間人にまで秘密保護法を拡大する非常に危険な内容。何としても廃案にしなければならない」と述べた。
 そして「法を破る裏金議員には憲法改正を言う資格はない。金権腐敗の自民党政治を打倒し、政権交代を実現するため共に頑張ろう」と呼びかけた。
 政党あいさつではこの他、立憲民主党の逢坂誠二代表代行、日本共産党の田村智子委員長、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表が発言。

次世代に引き継ぐ責任

 伊藤塾塾長の伊藤真弁護士は、7年前に憲法大集会で演説したことを振り返り、「この7年間、私の憲法への愛は全く変わっていない」と目を輝かせた。改憲のための国民投票法について「ネット上の運動資金に制限がなく、たとえば米国の軍需産業が日本の改憲のために資金を出すこともできる。つまり外国が介入して日本の主権を侵害する恐れがある」として同法の抜本改正を求めた。
 また伊藤さんは、憲法がつくられた目的として、その前文で「日本中に自由と人権をもたらす」「二度と政府に戦争をさせない」の2つを挙げていると述べ、「憲法破壊にあらがい、次世代にこの良き憲法を引き継ぐことが、私たちの責任だ」と訴えた。
 新外交イニシアティブ(ND)代表の猿田佐世弁護士は、緊張を緩和させる「外交とは何か」と問いかけた。ヒントとして、自らが4月に参加した米国務省招待の日米韓連携の研修ツアーの経験談を語った。
 「軍事・安保分野だけではなく、女性の活躍推進や、がん撲滅まで、幅広いテーマで協力する。本気の『外交』とは長い時間と予算をかけ、政府の上から下までが互いに顔が見える関係にすることだ」。

 一方、日本の対中国外交はあまりにも貧弱。猿田さんは台湾海峡の緊張緩和のためにも「習近平国家主席と岸田首相の首脳会談は極めて重要だが、それだけでは全く不十分」として、幅広いテーマの重層的で積極的な東アジアの平和外交が必要であるとの趣旨を語った。

 猿田さんは発言の最後に「来年の憲法大集会には各参加者が20歳代以下の若者一人を連れてくることを約束してほしい」と呼びかけた。

新社会党と共同街宣

 憲法大集会の会場近くの国際展示場駅前で3日午前、社民党と新社会党の共同街宣が行なわれ、200人が参加した。落語家の古今亭菊千代さんが司会を務め、新社会党の岡﨑宏美委員長が「この社会で生きていくためには憲法が脈々と息づいていなければならない。憲法を皆で活(い)かすことを再確認したい」と訴えた。
 社民党都連政策委員長で衆院選東京ブロック比例予定候補の桜井夏来さんは「朝ドラ『虎と翼』は、大日本帝国憲法の下で言論の自由も男女平等もない時代を描いている。戦前の社会に戻してはならない」と熱く語った。新社会党の参院選予定候補の甲斐正康さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さんに続いて、コスタリカに学ぶ会事務局長の杉浦ひとみ弁護士は「安保環境が変わったから軍備増強はしかたがないといった『思考停止』に陥ってはならない」、武器取引反対ネットワークの杉原浩司さんは「共同開発の次期戦闘機の海外輸出は、死の商人国家への堕落だ」、評論家の佐高信さんが「改憲議員は裏金と統一教会に汚染されている」と述べた。

 

社民党と新社会党の共同街宣。左から、司会を務めた女性落語家の古今亭菊千代さん、福島党首、岡﨑宏美委員長。(3日午前、国際展示場駅前)

「憲法いかす政治を!」などのプラカードを掲げる参加者たち。