(社会新報11月21日号1面より)
10月27日に投開票が行なわれた衆院選では、与党の自民・公明が過半数を割り込んだ。このため、参院では改憲「賛成」派が改憲発議に必要な3分の2を上回っているものの、衆院では3分の2に届かない状況となった。
それでも、今後の政治状況の変化によっては、改憲発議に向けた動きが活発化する可能性も十分に考えられる。
「改憲反対」のコール
日本国憲法が公布されて78年になる11月3日、約2300人(主催者発表)が国会議事堂正門前に集まり、「改憲反対」大集会を行なった。「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」と「9条改憲NO! 全国市民アクション」の共催。
市民らは青空の下、「改憲発議は許さない」「戦争する国、絶対反対」「軍拡反対」などと元気よくコールを繰り返した。
主催者あいさつの後、3人の国会議員が発言した。
社民党党首の福島みずほ参院議員は、先般の衆院選で与党の自公が過半数割れしたことを評価しつつも、野党の中の右派政党が議席数を増やしたことについて、「国会の中がむしろ右ブレしたのではないか」と危機感を表わした。
また、自民党政治を変えることの意味について、「憲法改悪と軍拡・戦争への道の流れを変え、生活破壊の現状を改善することだ」と訴えた。
その上で、沖縄・南西諸島や九州で軍事要塞化が着々と進んでいることを取り上げ、「日本は戦争の準備(段階)から『戦争をする国』へと突き進んでいる。この流れを皆と一緒に変えていきたい」と呼びかけた。
日本共産党の小池晃参院議員と立憲民主党の有田芳生衆院議員も、市民との連帯の重要性などを訴えた。
安倍政治の負の遺産
続いて、京都大学教授の高山佳奈子さん(刑事法学)が日本学術会議の任命拒否問題(2020年)を取り上げ、「6人の任命拒否を決めたのは、実質的に菅義偉政権ではなく、その前の安倍晋三政権だ」として、安倍政権のあり方を厳しく批判した。
また、安倍氏が殺害されてから2年4ヵ月になるのに、その裁判がまだ始まっていないことを取り上げ、「なぜこんなに引き延ばされるのか」と疑問を呈し、旧統一教会と自民党議員らとの関係解明の迅速化を促した。
昨今の日本の軍事増強の流れに対しては、「国際法上は一般市民や捕虜を殺してはいけないことになっているのに、かえって相手側からの攻撃を呼び込むことになる」と問題点を指摘した。
「攻め」の日米同盟へ
安全保障問題に関わる市民団体からも報告があった。
護憲原水禁千葉県実行委員会の武藤美好さんは、木更津駐屯地で続く米海兵隊・オスプレイ(ヘリコプター型垂直離着陸機)の定期機体整備と陸上自衛隊への同機暫定配備の問題について報告した。
その上で、「事故の危険性や騒音問題も深刻だが、戦争のためのオスプレイであることが重要であり、これからも反対し続ける」と語った。
ヨコスカ平和船団の新倉裕史さんは、防衛省(自衛隊)が今年1月に米巡航ミサイル・トマホークを最大400発購入する契約を締結したことについて、次のように指摘した。
「安保3文書の改定(22年12月)によって、防衛費の倍増と敵基地攻撃能力の保有という安保政策の大転換が行なわれた。集団的自衛権の行使へと突き進む象徴がトマホークの保有であり、日米の一体運用が前提とされている。このトマホークの運用訓練は、すでに横須賀で始まっている」