社会新報

5月10日合併号は憲法特集です

 

5月10日号の1面より。

 

 

社会民主党党首 福島みずほ

 

 日本国憲法を変えようという動きがあります。しかし、日本国憲法が実現しようとしていることが達成していないのですから、変えるのではなく日本国憲法の理念を実現していくことに全力を挙げるべきではないでしょうか。

 憲法9条があり、戦後のさまざまな人の運動の中で、日本は戦争しない、非核三原則、海外に武器を売らない、軍事研究をしないという国でした。そのことを今、変えようとしています。政府自民党が言ってきた専守防衛すらかなぐり捨てて、敵基地攻撃能力を持とうとしています。しかも集団的自衛権の行使で敵基地攻撃をするのですから、まさに先制攻撃となってしまいます。反撃をされて、日本全土が戦火にまみえるということもありえます。

 国会では、防衛予算確保法案と防衛力強化法案が審議されています。防衛力強化法案は、軍需産業を支援し経営的に困難な軍事工場を国有化することができるというものです。民間企業の国有化第1号が軍事工場など、憲法9条を持つ日本であり得ません。

 5年間で43兆円の防衛予算にし、世界第3位の軍事大国になることも、軍拡競争に走ることも、憲法9条の趣旨に明確に反しています。戦争への準備ではなく、平和の構築をやっていこうではありませんか。国会では、憲法審査会で、憲法改悪をしようとする動きが強まっています。緊急事態条項は、内閣独裁で、基本的人権や国会を停止しようとするものです。

 軍拡大増税ではなく生活支援こそ、いま大切です。新たな戦前をつくってはなりません。戦争をする国は、表現の自由や学問の自由を制限し、メディアや教育をコントロール下に置き、国民への監視を強めていきます。まさに今そのことが進行しています。生存権すら保障されておらず、労働基本権も制限されています。

 私の好きな言葉に「平和と平等は手を携えてやってくる」というのがあります。「戦争と差別・排外主義が手を携えて」やってこないように、日本国憲法のそれぞれの価値が十分に生かされるような政治を、たくさんの人と一緒に全力でやっていきましょう。頑張りどきです。社民党の出番です。