社会新報

「庶民は増税 自民は脱税」~市民らが国税庁に怒りの申し入れ

 

(社会新報3月21日号2面)

 

 

 「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」(藤田高景代表)のメンバーと支援者ら約80人は7日、東京・霞が関の国税庁前で「自民党のウラガネ・脱税は許さない!」と書かれた横断幕などを掲げ、「庶民は増税、自民は脱税、おかしいぞ」「国税庁は脱税議員から税金を取れ」とコールを繰り返した。

裏金議員に課税しろ

 その後、同会の藤田代表と長谷川直彦・大口昭彦・一瀬敬一郎弁護士らは国税庁内で長官官房調整室長(課長)らと面談し、自民党国会議員の「裏金」を全て課税対象にすることなどを求める申入書を提出した。
 同会は2月1日、東京地検に対し、自民党安倍派の「裏金」国会議員10人を所得税法違反(脱税)の疑いで刑事告発している。
 国税庁への申し入れの趣旨は、①自民党国会議員らの「裏金」は全て雑所得として計上させ、課税対象とすべき②国税庁が今年1月に出した「政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要」なる文書を撤回し、政治家の「所得」を全て一律に事業所得として課税対象とすべきーーの2点。
 ②の文書は、2023年分の所得税等の確定申告に関するものであり、同趣旨の文書は毎年出され、国会議員らに配布されているという。
 この文書には、「政治資金に係る『雑所得』」は「政治資金収入」から「政治活動のために支出した費用」を控除した差額であり課税対象となると記されている。
 だが、この「支出した費用」として認められる項目には「政治活動に関する交際費、接待費」なども含まれ、税務当局の審査が皆無または甘ければ、議員にとって「やりたい放題」の規定となる。

「訂正」では解決せず

 面談の冒頭、藤田代表は担当室長に対し、「国民の怒りを受け止め、国税庁は頑張ってもらいたい」と訴え、申入書を手渡した。
 申入書は、政治家の収入と課税の関係に関する唯一の法規である所得税法9条1項19号が、非課税所得であるための絶対要件として「選挙に関して」「選挙活動に関連する収支で」「収支報告書の提出がなされた」ことを挙げていると指摘する。
 このことから、今回問題となったパーティー券・裏金問題に関与した多くの自民議員があわてて「(自身の)政治団体の収入だった」として政治資金収支報告書を訂正したことに対し、「各議員は、元々これら裏金を『政治資金』ではないと考え、政治資金規正法上の『政治資金』として届けていない以上、もはやいかなる意味でも『政治資金』ではない」と断罪した。
 その上で、「すべて『雑所得』として課税すべき」と国税庁に求め、8人の自民国会議員の「裏金収支」の実態を具体的に示した。

国税は自民に忖度?

 「許さない会」は国税庁への申し入れ後、衆院第二議員会館で記者会見を行なった。
 長谷川弁護士は申し入れの中身を解説した上で、次のように語った。
 「誰が見てもうそだと分かる自民党国会議員による政治資金収支報告書の訂正申告が、まかり通るのか。『飲み食いした』とか『デパートで買い物をした』として『カネは全部使った』と主張すれば、それで通るのか。政治家に対する税務当局のゆるゆるの規制が諸悪の根源だ。自民議員らに対しても、きちんと課税すべきだ」
 大口弁護士は、「課税の問題は、主権の問題だ。主権者は国民・人民なのだから、私たちはこれからも税務当局に対し、注視・監督していく必要がある」と訴えた。
 「許さない会」の呼びかけ人の一人で元経産官僚の古賀茂明さんは、「法律に書いてあることだけでなく、運用のルールが政治家に甘いことが、明るみになってきた。政治家が後から『政治資金だった』と言えば(政治資金収支報告書を訂正すれば)通るのか、税務署がそのまま認めるのかという問題だ」と指摘した。