社会新報

地域から変えよう!~共同テーブルが統一自治体選シンポジウム

冒頭、杉浦ひとみ弁護士があいさつした(9月17日、中野区内)。

山田厚甲府市議が政府のコロナ対策の問題点を指摘した。

 

(社会新報10月5日号3面より)

 

 リベラル政治勢力を支援する識者団体「共同テーブル」が9月17日、「地域を変えよう!地域から変えよう!」と題して来年4月の統一自治体選に向けたシンポジウムを都内で開催した。シンポジウムでは、各地の自治体議員やその支援者らが、超党派の政策推進や自治体選挙でいかに勝っていくかを語った。
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 シンポジウム第1部の冒頭で、発起人の杉浦ひとみ弁護士があいさつ。「統一教会が戦後の日本の政治にずっと関わり続けてきたことが明らかになった。権力というものに市民が今、大きな疑問を持っている」として、「草の根から健全な民主主義を求めて活動していきたい」と述べた。
 共同テーブル発起人で官製ワーキングプア研究会の白石孝さんが基調報告を行なった。白石さんは「来年の統一自治体選は、道府県議、政令市議、23特別区議の80%で行なわれる重要な選挙だ」と語り、政府与党が「黄金の3年間」と呼ぶ国政選挙がない期間の中で、リベラルな自治体議員を増やし、自治体の政策を転換していくことが必要だと強調した。

自宅療養者の負担増

 続いて、各自治体議員からの発言で、社民党の山田厚・甲府市議は国のコロナ政策の危うさを訴えた。山田議員は政府が検討するコロナを感染症2類相当から5類への引き下げで、「自宅療養や患者負担強化が進む」と警鐘を鳴らした。また「この30年で40万床も削減し、保健所数も半数以下にした」と自民党政権が医療体制をぜい弱にしたと批判。自治体に公的責任の強化や労働・災害補償認定の充実に求めていく必要性を語った。
 緑の党グリーンズジャパン共同代表の橋本久雄・小平市議は、「気候危機は本来、大きな争点になるべきだった」と先の参院選を振り返り、2019年に立ち上げられた「気候危機・自治体議員の会」に「現在448人の議員が賛同している」と報告。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが立ち上げた若者の運動「フライデイズ・フォー・フューチャー」の世界的な動きに連動して自治体議員が地元の庁舎の前でのアピールを行なっているとして参加を呼びかけた。
 個人情報保護法を受けて、同法に沿った条例の制定を全国の自治体は今年度中に行なわなくてはならないが、漢人明子都議(緑の党グリーンズジャパン)は「政府の委員会の押しつけではなく、自治体の自主的主体的な判断を最大限尊重するべき」との声明を先月末に発表したことを紹介し、「全国の自治体議員と情報を共有し取り組んでいきたい」と語った。

杉並新区政の原動力

 シンポジウムの第2部は、自治体議員や市民団体がそれぞれの選挙での経験を共有。今年6月の区長選で市民派の岸本聡子区長を誕生させた東京・杉並区から斎藤正明さんが参加、区長選後の市民の活動を報告した。斎藤さんは「住民思いの杉並区長をつくる会」の事務局を務めていたが、「区長当選により同会は解散。区長の後援会と共に、杉並の住民自治を掘り下げ、広げていく組織を作ろうとしている」という。斎藤さんは「市民と野党の共闘がどれだけできるか、これが勝つために一番大きい」と語る。
 大分県の玉田輝義県議(県民クラブ)はオンラインで参加。「過疎が深刻で自治体が消滅の危機がある」と述べ、「団塊の世代が後期高齢者になる25年問題は次の統一自治体選で大きなテーマとなる」と語った。

自治体に命守る政治を

 東京・葛飾区の、みずま雪絵区議(新社会党)は、「20、30、40代の層での仲間づくりを積極的に行なった」と述べ、既存組織で高齢化が目立つ中で、新たなに選挙に関わる人々を取り込むことの重要性を説いた。
 大阪府茨木市の山下慶喜市議(新社会党)は、大阪維新の会が圧倒的に強い中で、来年の自治体選に向け、「野党統一で戦う準備を進めている」と語った。
 千葉県の伊藤とし子県議(市民ネットワーク)は、同県が男女共同参画条例がない唯一の県であることを指摘し、旧統一教会の影響を疑うと述べた。また、国葬反対の街頭運動に力を入れているとも報告した。
 まとめとして元国立市長の上原公子さんが発言。「憲法25条で保障される健康で文化的最低限度の生活が脅かされている人々が本当に多い。命を守る政治が自治体に必要」として、貧困や気候変動への対策の取り組みを訴えた。