(社会新報2021年3月10日号3面《主張》より)
2月21日、社民党は昨年11月の臨時全国大会以来の機関会議となる全国代表者会議をオンラインで開いた。全国44の都道府県連合の代表委員の他、残念ながら解散となった県連合からもオブザーバーとして参加があった。
ほぼ1年にわたった「合流」議論を経て、社民党を残す選択も立憲民主党に「合流」する選択も認め合うという決定から3ヵ月。代表者会議は、この間の苦闘を振り返りながら、総選挙闘争をはじめとした当面の闘いに一歩踏み出そうという決意を固め合う場となった。
この間、「新生社民党」をアピールしてきた。これはもちろん社会党時代を含め一貫して追求してきた護憲・平和や働く者の党としての基本路線を見直すというものではない。時代が変化する中で生まれる新たな課題にも果敢に挑もうという決意を示したものだ。その決意を体現する全国連合の新役員体制となった。
まず一人は山城博治さんだ。反戦平和に関心を持つ人で彼を知らない人はいないといっていいだろう。沖縄で県民の意思を無視して進む辺野古などの新基地建設に、現地で身体を張って非暴力で抵抗してきた。
いま一人は伊是名(いぜな)夏子さんだ。山城さんと同様、沖縄の出身だが、骨の弱い障がい「骨形成不全症」で電動車いすを使用する生活を送っている。著書『ママは身長100㎝』を読むと、その前向きな姿勢に圧倒される。「私のように、障がいがあり、生きづらさを抱えている人でも、弱音を吐きながら、助けを求めながら、生きていける社会を目指したい」と抱負を語った。
そして20年2月から常任幹事を務め、今回副党首となった大椿ゆうこさんだ。有期雇用を理由に雇い止め解雇されたが、闘い続けた。19年の参院選に立候補し、非正規労働者の現状を訴える主張は多くの人々に鮮烈な印象を与えた。
最近発行した社民党のポスター「答えは現場にある。現場で闘う人々と共に政治を変えてゆく」「弱音をはける社会へ。あなたの弱音が政治の課題」が好評だ。
コロナ禍で、そして格差と貧困の進行で日本社会には深刻な矛盾が渦巻いている。しかし、「自己責任」「自助」の声にかき消され、弱音が吐きづらい社会になっている。その現実を変えるために社民党は全力を挙げるというメッセージが、今回の新役員の選出だ。