(社会新報12月12日号2面より)
韓国オプティカルハイテック労組と支援者が11月12日から29日までの間、日本を訪れ、日東電工による労働者の権利侵害に関する申し立て、記者会見、街頭宣伝を行なった。申し立ての記者会見には、副党首の大椿ゆうこ参院議員がつき添った。
日東電工の100%子会社である「韓国オプティカルハイテック」社(亀尾市)は、2022年10月4日に発生した工場火災を理由に廃業した。会社は携帯のショートメールで一方的に廃業を通知し、説明会も開かなかった。この工場で行なわれていた作業は別の子会社「韓国日東オプィテカル」社(平沢市)に移されたが、亀尾市の工場で働いていた労働者の雇用は継続されなかった。
OECD指針に違反
雇用継続を求める労働組合に対し、会社は団体交渉を拒否した上で、組合事務所への電気・水の供給を絶ち、組合員の住宅保証金を仮差し押さえするなどの弾圧を行なった。組合側は、断交拒否や組合への報復が「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」に違反しているとして、日韓両国のNCP(行動指針の普及や問題解決を担当する連絡窓口)に申し立てを行なうことにした。
11月26日、一行は大椿副党首と共に外務省を訪れ、日本NCPを共管する外務省・厚労省・経産省の担当者に問題提起書を提出した。
金属労組亀尾支部韓国オプティカル支会の崔鉉煥支会長は、日東電工側が労働組合を犯罪者のように扱って報復していることが許せないとして、「日本政府は日東電工に、労働者と対話し、弾圧をしないよう促すべきだ」と訴えた。
担当者は、NCPの役割は当事者間の対話をあっせんすることだとし、韓国NCPと協議しながら適切に対応すると返答した。担当者によれば、日本NCPの処理には、1年2ヵ月以上かかる見込みだという。
亀尾市の工場跡では、今も2人の女性労働者が「高空籠城」を行なっている。金属労組中央本部の孫德憲・副委員長は、厳しい冷え込みの中、2人の体調に何かあれば外交問題になるとして、NCPの判断結果にかかわらず、日本政府が会社に労働者と対話させるよう求めた。
世界が注目している
翌27日には参院議員会館で記者会見が行なわれた。民主労総慶北地域本部の裵泰善教育局長は、「韓国では国会議員・宗教者・芸術家も抗議に加わっている。日本NCPへの問題提起書にはインダストリオール・グローバルユニオン(140ヵ国、5000万人を代表する産別組合)も名を連ねており、世界がこの問題に注目している」と述べた。
日韓両国の経済交流の将来のためにも、日本政府と日東電工は労働者の訴えに向き合うべきだ。