社会新報

【主張】改正食料・農業・農村基本法強行~食料自給率を上げる農業政策で対抗しよう

(社会新報6月13日号)

 

 今年2月23、24日に開催された社民党第20回定期全国大会で、党独自の農林漁業政策を打ち出すために農林漁業PT(プロジェクトチーム)を作ろうという意見が、複数の県連から出された。そうした意見を踏まえて、全国連合組織団体局は有志を募り、PT発足に向けて準備を進めてきた。すると、14県連から25人もの参加申し込みがあり、PT委員長・事務局長候補も決まったので、5月20日、党農林漁業再生PTを立ち上げることとした。
 同日午後7時半、10県連から12人の参加を得て、党農林漁業再生PT設立オンライン総会が開催された。冒頭、大椿ゆうこ副党首からあいさつがあり、その後、役員体制の提案がなされた。委員長に堀井修さん(衆院選北信越ブロック比例予定候補、新潟県連)、事務局長に馬場功世さん(熊本県菊陽町議、同県連)が満場一致で選ばれた。
 議事では、「社民党の農業基本法」(自然と地域を大切にするオーガニック社民党)の原案が提案された。PT委員長の堀井さんが、地元・新潟大学農学部の伊藤亮司教授らの協力を得て、短時日でまとめたもので、内容は、国会で審議中の「食料・農業・農村基本法改正法案」への対抗政策として、以下の6項目を打ち出している。
 ①食料自給率を当面50%とし、完全自給を目指す②再生産のできるコメや野菜・畜産物の価格を実現する③コメ等の農畜産物は国産製品の消費拡大を行なう④消滅寸前にある農村の振興をはかる⑤学校給食の有機農産物化をスタートさせ、農業のあり方を転換する⑥有事以前に平時の自給率50%を目指す。早速、この案に対し、何人かの参加者から意見が出された。
 今後は、この「堀井原案」を農林漁業再生PTで討論・補強して、社民党全国連合に提言していくこととしている。PT会員の活発な議論に期待したい。
 こうして待望の農林漁業再生PTが設立された。設立後、残念ながら5月29日に「改正食料・農業・農村基本法」が参院本会議で可決、成立した。
 審議途上、農業生産基盤の弱体化が著しいのに坂本農相がそれを当初否定したことについて、野党から過去の政府見解との矛盾を突かれ、発言を撤回・謝罪した。
 改正法案の提案者が農業生産基盤の現状を正しく認識していないことが露呈した。法案を強行した責任を一体誰が取るのか。