(社会新報6月13日号2面より)
社民党党首の福島みずほ参院議員(会派=立憲民主・社民)は5月28日、参院法務委員会で税金や社会保険料の未払いの場合などに永住許可を取り消すことができる制度を盛り込む入管法改正案を厳しくただした。
まず、福島党首が昨年6月23日以降に強制退去となった人数を確認したところ、政府参考人の丸山秀治・出入国在留管理庁次長から「23年度は未集計だが22年度に退去強制令書によって送還された人数は4795人である」との答弁があり、さらに強制退去を命じられたうちの未就学児を含む未成年の人数については「統計を取っていないので不明である」との答えがあった。
これに対して党首は、「世間が固唾(かたず)をのんで見守っているのに具体的な数字が示されないのは無責任」と指摘した上で、斎藤健前法相の判断で在留特別許可を出した子どもと家族の人数を確認すると、「手続き中なので確認が困難であるが、22年12月末までにわが国で出生した人数なら201人であり、引き続き丁寧に手続きを進めていきたい」との答弁があったため、昨年に前法相ができる限り早く進めるとした答弁と食い違っており、「当事者たちは放置され、宙ぶらりんの状態になって大変である」と指摘した。
続けて、党首は小泉龍司法相に対し、有識者会議で議論していない永住許可の取り消しの制度がなぜ突然出てきたのかとただすと、法相は「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップなどの取り組みをした結果にすぎない」との逃げの答弁に終始した。
福島党首は、そのロードマップは2026年まで検討をした上でその後に必要な措置を実施するとあるだけであり、今回の前倒しの理由にはならないと鋭く迫った。
さらに、前倒しの理由に悪質な永住権者の存在がいるためと強調する法相に対し、福島党首は資料に基づいて、90万人いる永住者のうち2019年から22年の間に在留資格取り消しの例はゼロであることを指摘し、軽微な理由で永住許可を剥奪でき、生殺与奪(せいさつよだつ)の権を国に握らせる改正案は断じて容認できないと訴えた。