社会新報

沖縄を再び戦場にさせない~県民平和大集会に1万人以上が参加

玉城デニー知事は沖縄の不条理と抗して闘うと決意を語った(11月23日、那覇市内)。

左から大椿、新垣両副党首、服部幹事長。

全国各地から1万人超が集まり、南西諸島の軍事化に怒りの声を上げた。

 

(社会新報12月7日号1面より)

 

 11月23日、沖縄県那覇市奥武山公園陸上競技場で「対話による信頼こそ平和への道」を掲げて「11・23県民平和大集会」が開催され、岸田政権が強行する南西諸島の軍事化を阻止し、平和外交による戦争回避を訴えた。社会民主党の新垣邦男衆院議員、大椿ゆうこ参院議員の両副党首、服部良一幹事長らを含め、1万人超(主催者発表)が参加した。
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 メーン集会に駆けつけた玉城デニー沖縄県知事は「なぜ日本政府は沖縄の不条理に正面から向き合おうとしないのか。その不条理が存在する限り、私たち県民はこれからも絶対にひるむことなく行動し、平和のため声を上げ続けていこう」と呼びかけた。

全国で、全世界で共有

 その上で、玉城知事は、「私たちは沖縄戦の歴史や、27年間の米軍施政権下にあって人権をじゅうりんされてきた事実を、そして復帰51年経った沖縄に日本全体の70%あまりの米軍基地面積を押しつけられているということの不条理をただしていかなくてはならない」とし「いま私たちが求めている平和の思いを、全国で全世界で共有するために行動しよう」と訴えた。
 前泊博盛・沖縄国際大学教授が基調報告し、「今、メディアではまるで台湾有事を期待するかのような報道がなされている。平和も民主主義もメディアから腐るといわれる。メディアをしっかり検証し、ちゃんとした政治家を選ぶことが重要だ」と強調した。
 全国基地爆音訴訟原告団連絡会議の金子豊貴男さんが共に闘う決意を述べた。
 集会を主催した「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」は沖縄県内60余の市民団体と個人が参加して7月に設立。9月24日には結成・キックオフ集会を約800人で開催し、1万人参加を目標に県内だけでなく全国にも参加を呼びかけ、同時に全国各地での連帯集会の開催も呼びかけてきた。
 キックオフ集会で瑞慶覧長敏(ずけらん・ちょうびん)共同代表が、「若者からシニアまで戦争をさせないということで集まったこの会は、誰でも声を上げていい。民衆の声を世界に発信し、一緒に活動していこう」と発言。沖縄でも集会やデモへの参加が少ない中で、多くの若者の参加を実現しようと呼びかけた。
 参加呼びかけのキャッチフレーズは「争うよりも愛したい」。またポスターには「平和な島で子育てしたい」「ミサイルよりもおむすび、有事よりも平時」といった手製のプラカードを掲げた親子や若者の写真を多用。
 当日は会場にこれまでの集会では見られない月桃チマキ、タコライス、チキン南蛮などを販売するキッチンカーも呼び込んだ。昼からのコンサートでは20代、30代の若者が舞台に立った。

マラリア地獄を生き抜いて

 15歳で沖縄戦を体験した石垣市出身の山根安行さん(93)が登壇し、「マラリア地獄の中をはいつくばって生きてきて、今、ぬちどぅ宝の命をいただいて立っている。愚の骨頂である戦争を二度と再び起こしてはならない」と張りのある声で訴えた。そして、山根さんが三線を弾きながら自作の八重山民謡『とぅばらーま』を唄うと満場の拍手が響き渡った。
 山根さんの唄に相の手を入れる26歳の医者で唄い手の桑江優稀乃さんは、「私はミサイルも戦闘車両も争いもフェンスもない美しい海と空が広がる自然に囲まれ、いのち、安心して暮らせる、笑顔あふれる平和な島を未来に残したい。きっと沖縄は世界の平和の希望になる」とアピールした。

 

山根安行さん(左)と桑江優稀乃さん。