(社会新報5月31日号2面より)
舌鋒鋭い大椿節が国会で順調なスタートを切った。
社民党副党首の大椿ゆうこ参院議員(会派=立憲民主・社民)は16日の参院農水委員会で国会議員として初の質問に立った。来年にも想定される「食料・農業・農村基本法」改正問題で、戦時下を想定した食料増産命令の法整備の議論に懸念を表明した。
大椿議員は、5月11日付『朝日新聞』1面の記事「有事の輸入停止 食料増産命令 法整備検討」を取り上げた。今国会で安保3文書を具体化する軍拡2法案の審議が続く緊迫した状況下、「この記事を一読した時に、農業の分野まで戦争の準備の足音が聞こえてきたのかと懸念を抱いた」と危機感を募らせた上で、「具体的にどういう有事を想定しているのか」とただした。
これに対して、政府参考人の杉中淳農水省総括審議官は「基本法検証部会の論議の中で不測の事態が発生する蓋然(がいぜん)性が高まっていると言った指摘があった」とあいまいな答弁に終始した。
大椿議員は、「農家が何を作るのか、どういうものを栽培するのかというような私権制限はあってはならない」と厳しく指摘。「私たち政治に携わる者として戦争を招くような事態を避けなければならない」と訴えた。基本法改正問題について「この基本法は農政の憲法といわれている。拙速に法案を出す結果とならないよう、農と食の基本理念の徹底的な再検討を行なうべきだ」と改正論議にくぎを刺した。その上で、今後の基本法検証部会の議論に関し、「オープンな形で議論を進め、専門家や農業当事者だけではなくすべての人に関心を持ってもらえるよう議論を進めていただきたい」と求めた。
今回、大椿議員が農水委員会に配属となり、国会にデビューするにあたり、岡山県の中西部にある高梁市の兼業農家に生まれ育った自分のルーツを紹介。「農家に生まれたがゆえに見ないようにしてきたこと、避けてきたことにしっかりと向き合っていきたい。人口減少と農家の後継者不足、限界集落化。まさに私の故郷がその典型のような場所だった」と語り、今後に意欲を示した。
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