社会新報

【主張】自民幹事長人事の腐敗-甘利明氏の「政治とカネ」徹底追及を-

(社会新報2021年10月13日号3面《主張》より)

 

「政治とカネ」問題の説明責任を全く果たさず、むしろ開き直るかのような姿勢が自民党幹事長人事であらわとなった。

9月29日に同党新総裁となった岸田文雄氏は10月1日、甘利明税制調査会長を党幹事長に起用した。甘利氏と言えば、5年前の疑惑で経済再生担当相を辞任した、いわば「政治とカネ」を象徴する人物だ。

5年前の疑惑を振り返ってみよう。疑惑の構図は、絵に描いたような、あっせん利得行為だった。

1970年、千葉県企業庁は「千葉ニュータウン」の開発に伴って道路用地買収を始めた。道路建設は千葉県企業庁から委託された独立行政法人都市再生機構(UR)が担当した。だが建設予定地に隣接する建設会社の薩摩興業とURの間でトラブルが発生。そのため、同社の総務担当であった一色武氏が、2013年5月、神奈川県にある甘利明衆院議員の事務所を訪ね、所長に相談した。

URが当初、薩摩興業に提示した補償額は1億8000万円であったが、甘利事務所の介入により補償金は2億2000万円に跳ね上った。一色氏は13年8月に大和事務所を訪れ、決着がついた謝礼として500万円を所長に渡した。同年11月、薩摩興業社長が、大臣室で現金50万円を甘利大臣に手渡した。14年2月にも現金50万円を甘利大臣に差し出した。甘利氏側が受領した総額は1535万円に上った。当時の黒川弘務法務省官房長が立件の見送りを望む安倍官邸の意向を忖度(そんたく)して調整に動いたとされる。結局、東京地検特捜部は甘利氏を不起訴とした。

また、甘利氏は原子力村の代理人と言っても過言ではなく、原発利権に深く関与している。脱原発とは真逆の姿勢だ。

幹事長は、党の資金配分や選挙公認権を握る。二階俊博幹事長時代に、買収事件で有罪の河井案里元参院議員の陣営に党が1億5000万円を流していた。

岸田氏は総裁選で、政治状況を「民主主義の危機にある」と強調したが、今回の幹事長人事を見る限り、そう訴える資格はない。

4日に岸田総裁が首相に就任し、14日・衆院解散、19日・衆院選公示、31日・投開票の日程を決定した。

今、求められるのは安倍―菅―岸田と引き継がれる腐敗政権の清算である。

来る総選挙で社民党はその腐敗の根を断ち切り、「生存のための政権交代」を目指して戦う決意だ。

 

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