社会新報

参院選で野党共闘の力を結集へ-11・3憲法大行動で改憲阻止を誓う-

(社会新報2021年11月17日号2面より)
 

日本国憲法の公布から丸75年を迎えた3日、国会正門前で「平和といのちと人権を!」などをスローガンに掲げて憲法大行動が取り組まれた。総がかり行動実行委員会と「9条改憲NO!全国市民アクション」が主催し、2000人が参加・視聴した。総選挙の結果を受け、憲法改悪を阻止する市民と野党の闘いを強めていくことを確認した。

 

 

司会を務めた講談師の神田香織さんが「全国で根付いた野党共闘の力を来年の参院選で結集させよう」と呼びかけた。

野党共闘への攻撃に抗う

最初に、総がかり行動実行委員会共同代表の高田健さんが主催者を代表してあいさつし、野党共闘があたかも間違いだったかのような攻撃がかけられていることについて、「もし野党がばらばらに戦っていたら、62の小選挙区での勝利すらなかった」と指摘し、「政治を変えるには、立憲野党の一本化を進め、選挙の中で野党と与党の対決構図をつくり出す以外にあり得ない」と強調した。

その上で高田さんは、市民と野党の共闘をさらに強化していく決意をあらためて表明した。

続いて、立憲野党の国会議員からスピーチがあった。

維新の会が危険な策動

社民党の福島みずほ党首は、改憲勢力が衆議院で憲法改正発議に必要な3分の2以上の議席を超えたことについて、「維新の会が議席を増やし、改憲キャンペーンが張られている。大変な危機感を持つ。憲法改悪の動きに対して今日からまた、とことん闘おう。維新の会が参院選と改憲の国民投票を同時に行なうと言っているが、断じてそうさせない。憲法改悪を皆の力で打ち砕いていこう」と訴えた。

また、福島党首は、野党共闘への攻撃に関し、「もし市民と野党の共闘がなかったら、もっと勝利はなかったはずだ。候補を統一化してとことん戦ったことをさらに発展させ、自信を持って頑張っていこう」と呼びかけた。

さらに、福島党首は現在の憲法をめぐる状況に関し、「憲法14条の法の下の平等、13条の幸福追求権、25条の生存権、19条の思想良心の自由、21条の表現の自由などが侵害されている。今回の選挙で女性国会議員が47人から45人に減った。9割以上が男性国会議員だ。法の下の平等、ジェンダー平等が全く実現されていない」と指摘し、憲法を守り活(い)かしていこうと訴えた。

自民党が2018年に公表した改憲4項目のうち、9条に自衛隊を明記することに関して、「何が違憲行為かを全く書かない憲法。自衛隊が何をやっても違憲とはならなくなる」と批判した。改憲4項目のもう一つの緊急事態条項に関し、「内閣限りで人権を制約できる、まさに内閣の独占だ」と厳しく指摘した。

立憲野党からは福島党首の他、共産党の田村智子副委員長、立憲民主党の近藤昭一衆院議員がスピーチ。

ゲストから発言が続いた。武蔵野美術大学教授の志田陽子さんは、憲法の現状について「国民に意思を問わないまま、平和と安全保障の問題など憲法の実質的な内容が変えられた」「本来、決定権を持っている人間がないがしろにされている」と指摘し、こうした憲法無視の政治を変えなければならないと強調した。

ジャーナリストの松元千枝さんが今年3月に開催された「女性による女性のための相談会」を振り返り、「コロナ禍で女性が不安定な生活や労働を強いられていることがはっきりと見えた」「法の下の平等が、女性の立場から見ると全く実行されていない」と指摘した。

女性に負担のしかかる

東京大学教授の本田由紀さんは、コロナ禍と格差・貧困問題について「突然の一斉休校が家庭に混乱をもたらし、女性に負担がのしかかった」「庶民がしわ寄せを受け、弱者が打撃を受けた」と指摘し、「野党の共通政策はこれに応えようとしたものであり、今も大賛成だ。野党共闘をもっと強く、幅広い支持を得られる政治勢力にしていこう」と訴えた。

市民連合から東京大学名誉教授の広渡清吾さんがスピーチし、「来夏には参院選がある。憲法の目指す世界の平和と人類の福祉の実現に向けて、政権交代を目指して新たな決意で活動を進めよう」と述べた。

 

↑憲法改悪の動きと全力で闘う決意を語る福島党首(3日、国会正門前)。

 

 
 
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