社会新報

入管庁アプリに非難の声-党首が難民懇で重大な人権侵害を追及-

(社会新報2021年6月30日号2面より)

 

出入国在留管理庁(入管庁)は昨年12月からホームページで外国人在留カードの真偽をスマートフォンなどで確認できるアプリケーションを無料で公開してきた。民間人による外国人監視を強めるものだとして非難の声が広がる中、6月15日、参院議員会館で超党派の「難民問題に関する議員懇談会」が開かれ、入管庁の当局者を呼び事情を聞いた。

福島みずほ党首ら野党国会議員が参加。市民団体や在日外国人当事者から人権侵害の実情が報告された。

以前の外国人登録証は、2012年にICチップが埋め込まれた「在留カード」に衣替えした。在留カードは、国内に3ヵ月以上在留する外国人に交付される。チップには「在留期間」「就労の可否」「日本の住所」「生年月日」「国籍」などの個人情報が記録されている。

在留カードの偽造が急増したことから、入管庁は偽造を見抜くアプリを開発し、無料で誰にでもダウンロードさせるようにした。

オンラインで参加したNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)の鈴木江理子副代表理事は、「日常生活における差別・偏見の助長につながり、共生社会の実現に妨げとなる」と厳しく指摘した。移住連の鳥井一平理事長も「建設現場の従業員同士で『お前の在留カードは本物なのか』と調べることが始まっている。このアプリでどれだけの人が傷ついたと思うのか」と入管庁に怒りの声を上げた。

福島党首は「こういうアプリは世界でも初めて。なぜ、こんなプライバシー侵害のアプリを公開したのか」と厳しく批判した。オンラインでの参加者が「アプリを取り下げる予定はないのか」と質問すると、入管庁職員は「取り下げの予定はない」と言い放った。

 

福島党首が難民懇の会合に出席し、入管庁の姿勢を厳しく追及。手前が入管庁職員(15日、参議院議員会館)。

 

 

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