(社会新報1月1日号3面より)
2023年は、世界も日本も激動の年だった。
ロシアによるウクライナへの侵略戦争が続く中で、今度はパレスチナ情勢が世界を大きく揺るがした。同年10月7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを大規模攻撃したことに端を発し、イスラエルは近年類を見ない規模の大量虐殺を強行した。国際人権団体ユーロ・メッド人権モニターの集計によると、12月30日時点でガザでの死者数は30034人に達した。そのうち女性と子どもの死者は約70%を占めた。一方、イスラエル側の死者は一千数百人。ガザの病院への攻撃は国際人道法に反する明白な戦争犯罪だ。一刻も早くイスラエルによるジェノサイドをやめさせ、停戦を実現し、オスロ合意の原点に立ち返った和平を求める。
一方、国内政治では自民党の驚くべき金権腐敗が浮き彫りとなった。安倍派のパーティー券収入でノルマを超える分を収支報告書に記載せずに同派議員にキックバックしてきた事件。東京地検特捜部が裏金の闇にメスを入れ、1月下旬の通常国会開会までに立件の判断をすると言われる。岸田首相は安倍派の閣僚4人と党幹部らを交代させた。岸田派など各派も同様の裏金づくりをしている。安倍派幹部を政権中枢から排除するだけでは、腐敗の根を断つことはできない。また岸田首相は改憲に前のめりの姿勢を変えておらず、極めて危険だ。今こそ自民党政治を退場させる、政権交代が必要だ。
そして、再び沖縄を戦場にさせない運動の強化が求められる。日米政府は、中国脅威論と「台湾有事」をあおり立て、南西諸島有事の切迫性を強調する。南西諸島の軍事要塞化が進む。この流れを止めたい。
12月28日、国土交通相が沖縄県名護市辺野古の新基地建設の設計変更を玉城デニー県知事に代わって承認する代執行を強行した。沖縄県民らの民意を踏みにじる行為であり、社民党は断固抗議する。行政不服審査法を悪用して地方自治を踏みにじる暴挙を許してはならない。
また、岸田内閣は12月22日の閣議で殺傷能力のある武器の輸出を解禁することを決定した。まさに「死の商人国家」に成り下がってしまう変更である。国会での論議もなく閣議のみで日本の大原則を変更してしまう暴挙を許すことはできない。
11月29日には米軍輸送機オスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落し、乗組員8人全員が死亡。米軍は12月6日、全世界での飛行を一時停止すると発表。オスプレイの永久飛行停止と全機撤去を求める。
このように昨年は国内外の情勢が極めて不安定であり、原油などの資源高に端を発した、物価高が市民生活を直撃し続けている。日銀の見通しでは24年度の消費者物価指数の上昇率は2・8%と依然として高い。5年間で43兆円という防衛予算倍増のための大増税が目前に迫っている。一方、企業の内部留保も22年末時点で555兆円超だ。大幅な賃上げと消費税3年間凍結、不公平税制の是正が喫緊の課題だ。
本年には解散総選挙がある可能性が高い。社民党は金権腐敗の自民党政治に終止符を打ち、政権交代を実現するために全力を挙げる。「がんこに平和!くらしが一番」を訴えてきた社民党の底力が試される1年が始まった。