社会新報

【主張】「沖縄県知事選の民意」~辺野古反対を無視する政権にノーを

(社会新報9月21日号2面)写真は玉城デ二ー知事の公式ツイッターより

 沖縄県知事選挙が11日に投開票され、社民党も推薦した現職の玉城デニーさんが再選を果たした。今回の選挙戦も辺野古新基地建設の是非が大きな争点となったが、沖縄県民は「辺野古ノー」の民意をあらためて示した。
 玉城さんの対抗馬は前回に続いて元宜野湾市長の佐喜真淳氏だが、前回は新基地建設について態度を明確にしなかった。しかし、今回は「辺野古容認」を明らかにして立候補した。明確な争点があっての今回の選挙戦である。
 ところが、松野博一官房長官は選挙結果を受けた記者会見で、「普天間基地の危険性の除去は辺野古が唯一の解決策」と述べた。相変わらずの民意無視であり、思考停止状態というほかない。
 政府が民主主義の大原則である民意を無視する政治姿勢はこの間、一貫している。とりわけ安倍政権時代から極めて露骨なものとなっている。
 それは今回の安倍「国葬」問題とも共通する。法的根拠がなく、国会にも諮らず閣議で決定する。反対世論が多数でも「丁寧に説明し、理解を求める」と述べて、無視するーーこんなやり方が繰り返されたら、多くの国民が政治不信に陥るのも無理はない。投票率の低さを有権者に責任転嫁することは許されない。
 しかし、私たちはあきらめることはできない。政府・与党は大軍拡、「戦争のできる国づくり」を一気に進めようとしているからだ。そのターゲットが沖縄であることは間違いない。
 防衛省は先月末、来年度予算の概算要求で今年度当初比3・6%増の約5兆6000億円と過去最大額を提示した。これだけで終わらない。金額を明示しない事項要求も多く、年末の予算編成では6兆円台半ばに達する可能性も報じられている。
 中国本土を狙える長射程ミサイルの量産化など敵基地攻撃が可能な武器の取得が列挙されている。そのミサイルが南西諸島を中心に配備されることは間違いない。
 万一戦争がぼっ発すれば南西諸島のミサイル基地は真っ先に攻撃対象となる。基地のある島々は無人島ではない。人々が住んでいる。しかし、「国民の防護は全く考慮されていない」(元内閣官房副長官補の柳沢協二さん、東京新聞9月1日付)。
 民意に耳を傾けず、民主主義を破壊する岸田政権にノーの声を突きつけよう。