社会新報

【主張】経済秘密保護法案~プライバシー侵す身辺調査法案は廃案に

(社会新報3月21日号3面より)

 

 「何が秘密か、それは秘密です」。2013年に強行成立された特定秘密保護法は反対する人々からこう表現された。同法は主に公務員を対象にしたが、今国会に提出された「重要経済安保情報保護・活用法案」は対象を民間人に拡大する極めて危険な法案だ。
 同法案では、安保に重要な影響を及ぼす情報を「重要経済安保情報」に指定し、セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度によって、情報取扱者に資格を与え、情報を漏えいした場合、5年以下の拘禁刑が科される。
 特定秘密保護法の制定時には、憲法で保障される「知る権利」や報道の自由、プライバシー権が制約される懸念から強い反対運動が巻き起こった。政府の外からの検証が難しく、恣意(しい)的な運用に歯止めがかけにくい。今回の法案でも同様の問題が、「経済安保」という幅広い領域で生じる可能性が高い。
 政府は、兵器など国際共同開発の推進には欧米並みの「適性評価」による情報管理が不可欠と説明する。軍民両用のデュアルユース技術の場合、「重要経済安保情報」の範囲は際限なく広がるだろう。しかし、どのような情報が該当するのか、全く分からない。国会審議でも明らかにされない恐れがある。政府が独断で機密情報に指定できれば、都合の悪い情報を隠す手段になるだろう。「知る権利」は著しく侵される。同法案には政府の違法行為を機密に指定することを禁じる歯止めがない。
 「適性評価」制度では、民間企業の社員や研究者などを対象に、思想信条や犯罪歴、精神疾患、借金の状況、家族の国籍などプライバシーについて身辺調査を行なわれる。「適性評価」の実施には本人の同意が前提となるが、社員が会社からの要請を断ることは難しく、事実上の強制だ。
 さらに原則30年まで延長が可能な機密指定の期間中、機密情報取扱者は退職をしても守秘義務が課せられる。長年にわたって監視下に置かれる。
 機密指定や適性評価の状況を独立して検証する仕組みはなく、特定秘密保護法ですらあった国会への報告もない。社民党の福島みずほ党首は8日の参院予算委員会で岸田首相に対して「秘密保護の対象となる『重要基盤』の定義が不明瞭の上、適用範囲の規定が大き過ぎて際限なく広がっていく可能性がある」と厳しく追及した。社民党は同法案の廃案を強く求める。