(社会新報11月21日号3面より)
自民党政治の終えんが近づいてきた。11月11日、特別国会の首班指名投票で石破茂氏が選出され、第103代総理大臣に就任した。30年ぶりの決選投票となり、石破氏と立憲民主党の野田佳彦氏が競った。野党がまとまりきれず、無効票が84票にも上り、結果、政権交代には至らず、少数与党の第2次石破内閣が発足することとなった。
第2次石破内閣は、大臣を務めていた自民党議員が落選したことと、公明党の代表が落選したことに伴う入れ替えのみであった。女性閣僚は2人のままで、特筆する閣僚人事もない、代わり映えしない内閣である。先の衆院選で自民党政治への不信任をたたきつけた民意のみならず、自民党内でも石破氏への不満がくすぶる中、内閣を特段刷新しないことは石破氏の自信の表れか、ただ鈍感なだけなのか。
一方で、国会の風景は一変した。自公だけでは過半数に達しないため、自公政権お得意の強行採決ができなくなった。法案を成立させるためには、各野党の協力が不可欠であり、自公政権は法案ごとに譲歩せざるを得ない状況となった。しかしながら、自公だけで法案が成立していた今までの国会運営がそもそも間違っていたのだ。複数の政党が選ばれていることは日本の多様な民意の反映であり、各政党の動向で法案成立が左右される緊張感ある国会審議は国会運営の正常化になるだろう。有権者の1票が政治に反映されることが実感できる可能性が高まり、有権者にとってはわくわくする国会運営になるのではないか。
今後の国会について、年内に開かれる臨時国会にて、野党側は企業・団体献金禁止などを盛り込んだ政治資金規正法の再改正を迫っている。石破首相は企業・団体献金禁止には慎重な態度であり、相変わらず大企業との癒着政治を続けようとしている。金権腐敗政治が先の衆院選における自民党大敗の原因であるにもかかわらず、反省なき石破政権にはあきれるばかりだ。
社民党も自公の過半数割れを最大限生かして、自民党政治では実現できてこなかった選択的夫婦別姓制度実現や女性差別撤廃条約選択議定書批准、国内の人権救済機関創設、介護保険の立て直し、給食費無償化、日米地位協定の見直しなど、喫緊の課題を実現していくことに尽力していく。
自民党政治を終わらせ、今度こそ政治を私たちの手に取り戻そう。