社会新報

統一教会による言論妨害スラップと闘う~有田芳生さんが第1回口頭弁論で決意

口頭弁論後の報告集会で決意を表明する有田さん(5月16日。東京・日比谷)。

 

(社会新報5月31日号3面より)

 

 元参院議員でジャーナリストの有田芳生さんがテレビ番組で行なった発言で名誉を毀損(きそん)されたとして、統一教会(世界平和統一家庭連合)が有田さんと日本テレビに対して計2200万円の損害賠償などを求めたスラップ(メモ参照)の第1回口頭弁論が5月16日、東京地裁であった。
 有田さんは昨年8月19日の日本テレビ番組『スッキリ』で、統一教会について「やはり、あのもう霊感商法をやってきた反社会的集団だってのは警察庁ももう認めているわけですから、そういう団体とは今回の問題をきっかけに、一切関係をもたないと、そういうことをあのスッキリ言わなきゃだめだと思うんですけどね」などと発言した。
 これに対して、原告の統一教会側は「発言は、一般視聴者をして、国家治安機関である警察庁が『統一教会は霊感商法をやってきた反社会的集団であると認定している』旨認識させるものであり、原告の社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損する」として、有田さんと日本テレビの両者の連帯で2200万円を支払うほか、ツイッターへの謝罪文の掲載や番組での謝罪放送を求めている。
 有田さんの反論の骨子は、番組発言について、霊感商法をしてきた公知の事実を前提とする公正な論評であること、有力政治家(萩生田光一自民党政調会長)は統一教会とスッキリと手を切るべきだという内容の公益目的の発言であり、名誉毀損には当たらないこと、この提訴自体が、典型的な悪質スラップ訴訟であることーーなどである。
 有田さんは意見陳述で、「この裁判を通じて、統一教会組織の反社会性を徹底的に明らかにしていく」と強調した。
 口頭弁論後、報告集会が開かれ、有田さんは、「訴えられたことを誇りに思う。言論に覚悟を持って反社会的な団体と闘ってきたから、訴えられてなんぼのもんじゃという気持ち。徹底的に戦う。シン・有田芳生として頑張る」と不屈の姿勢を示した。
 光前幸一弁護団長は、「統一教会が反社会的集団というのは、社会一般に定着した公知の事実である」と力を込めて語った。
 集会では、東大名誉教授で宗教学者の島薗進さんが「歴史から検証する統一教会の特異性」と題して記念講演し、共に闘う立場として、評論家の佐高信さん、ジャーナリストの鈴木エイトさん、東京新聞記者の望月衣塑子さんなどが登壇して、有田さんにエールを送った。
 統一教会は、紀藤正樹弁護士や他の民放テレビ局などを相手取り、今回の裁判を含めて同様のスラップを計5件起こしている。 

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(ことば)【スラップ(SLAPP)】=資金力のある大企業や資産家らが、目障りなジャーナリストや住民運動家、労働運動家などに対して高額訴訟を起こし、言論活動や住民運動、労働運動の萎縮効果を狙う訴訟の形態。別名で、どう喝訴訟、いやがらせ訴訟などとも言われる。裁判は一見、正当なものに見えるが、被告側に多大な金銭的・精神的な負担を強いる不当なもの。言論妨害のスラップで知られる事件は、消費者金融大手だった武富士によるジャーナリストの三宅勝久さんらへの高額訴訟(2005年に三宅さんの完全勝訴が確定)などがある。

 

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