(社会新報12月14日号2面)
防衛費を倍増させるなど、未曽有の大軍拡を推し進めようとする岸田政権に怒りの声が上がった。11月30日、「軍事費増やして生活壊すな!改憲反対!カルト癒着の政治をただせ、11・30in日比谷野音」と題した集会が東京・日比谷公園で開催され、冷たい小雨が時折降る中で、約1500人が参加した。主催は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。
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総がかり行動実行委の構成団体である「戦争をさせない1000人委員会」の勝島一博さんが主催者あいさつ。「憲法改正と軍備増強により国の針路が大きく変えられようとしている」と危機感を募らせた。
勝島さんは「9月末から4回にかけて開かれてきた政府の有識者会議は11月22日、防衛力強化に向けた提言を岸田首相に提出した。この提言では、敵基地攻撃能力に踏み込み、裏付けとなる防衛力強化の財源は『国民全体で負担しなければならない』と増税を提起した。軍需産業の育成ための増税によって国民生活が苦しめられることは絶対に許せない」と訴えた。
集会では、社会民主党、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、沖縄の風の国会議員らが発言。社民党副党首の新垣邦男衆院議員(沖縄2区)がマイクを握り、「先島では装甲車が街を走る。沖縄の空をオスプレイが低空で飛び回っている。戦争になったら沖縄を誰が守るかという議論はない。戦争が始まったら南西諸島の皆さんは我慢して頑張ってくれと言わんばかり。冗談じゃない。今、この流れを止めないと、また恐ろしい時代になる。必要なのは平和外交だ」と力を込めて語った。
統一教会の全貌を暴け
続いて、統一教会問題についてジャーナリストの有田芳生さんが発言。「統一教会問題は、最も厳しいスキャンダルだと自民党幹部も言っている」として、その闇を暴くことの重要さを熱弁した。
統一教会問題の根深さは、献金だけではなく、「1970年代、朴正煕軍事独裁政権に統一教会は協力し、統一産業という軍需企業も作っていた」と指摘。「68年には、2500丁もの散弾銃を日本に輸入。73年には1万5000丁もの空気銃を輸入していた」として、統一教会の全貌を暴くことは、「日本の戦後史の闇を暴くこと。カルト団体をなくしましょう」と呼びかけた。
馬毛島の要塞化に反対
馬毛島(鹿児島県西之表市)に米軍機訓練移転や自衛隊の基地を造ろうとしている問題について、同市で反対している地元市民らも集会に参加。代表の山内光典さんは「米軍の訓練は午前10時から夜中の3時まで行なわれる。激しい騒音や戦闘機からの落下物。島民の生活は根底から壊される」「ニホンジカの貴重な個体群、馬毛鹿は全滅の危機に瀕し、豊かな漁場が根こそぎ失われる」と懸念。また、「防衛省側は『丁寧な説明をしていく』としているが、最初から地元無視で強行している」「外周道路の工事や港湾の浚渫工事を開始している」と批判。「馬毛島で起きていることは、地元だけではなく、日本の針路が問われるものだ」と訴え、大きな拍手を受けた。
軍事より給食無償化を
学校給食の無償化に取り組む池田りょうこさんは、「子どもたちの食事は、コロナ禍での貧困格差の拡大、保護者の長時間労働、急激な物価高騰で危機にさらされている。給食の無償化について文科省と交渉したところ、『4400億円かかる。慎重に検討が必要だ』と言われた。岸田首相は、総裁選の際に子ども予算の倍増を打ち出したが、全然本気ではないのだなと心底ガッカリした。その一方で防衛予算は倍増。何ともグロテスクなものを見せられている気がする」と軍事優先の岸田政権の姿勢に怒りの声を上げた。
最後に「憲法共同センター」の小田川義和さんが行動提起。総がかり行動は全国各地での活動を今月も来月も取り組むと発表。「年明けの予算審議では、市民が国会を包囲する状況をつくり出そう」と呼びかけた。
集会後、参加者はプラカードを手に、国会へとデモ行進。国会前では野党議員らがデモ参加者の請願を受け付けた。