昨年10月以降、パレスチナ自治区ガザ地区の住民らは、イスラエル軍によって4万2000人以上が殺害されている。ヨルダン川西岸地区でも、パレスチナ人への殺傷が急増している。
それにもかかわらず、米政府はイスラエルに惜しみなく武器・弾薬を送り続け、欧米などの軍事企業はイスラエルに殺傷兵器を売り続けている。
虐殺兵器企業に抗議
こうした中で10月16~19日、東京・江東区の東京ビッグサイトで「2024国際航空宇宙展」が6年ぶりに開催された。
20を超える国・地域から約660の企業・団体が出展。日本航空宇宙工業会と東京ビッグサイトが主催し、日本の防衛省・外務省・経産省などが後援した。
本紙記者も取材した。「航空宇宙展」とあるが、「武器」の要素が色濃いブースも多かった。
イスラエル軍事大手のエルビットシステムズも出展した。同社の兵器類は、これまで多くのパレスチナ人の殺傷に使われてきた。
この他、イスラエルに兵器類を輸出し続けるRTX(旧レイセオンテクノロジーズ)、ボーイング、ロッキードマーチン(以上、米)、BAEシステムズ(英)なども出展した。
「ガザ虐殺やめろ」
10月3日、「国際航空宇宙展を虐殺兵器展にするな!キャンペーン」のメンバーらは日本航空宇宙工業会と防衛省・外務省・経産省に対し、「(パレスチナ人などへの)虐殺に加担する企業」の出展中止や後援中止を求め、署名簿を手に申し入れを行なった。だが、聞き入れられなかった。
展示会初日の16日、会場入口前で同キャンペーンが主催する抗議行動が実施された。約130人が参加してチラシを配り、「死の商人は恥を知れ」「イスラエルは虐殺やめろ」「ボイコット・イスラエル」「ボイコット・USA」などとコールを繰り返した。
来場者の多くは足を止めることなく、無視するように展示会場に向かった。
「武器取引反対ネットワーク」代表の杉原浩司さんは、イスラエル関連企業を「ボイコット」「投資撤収」「制裁」するBDS運動の必要性を訴え、「SNSなどで『買いません』と意思表示することが重要」と指摘した。
18日には、4人の抗議者が展示会場内のエルビットシステムズのブース前でプラカードを掲げ、抗議のコールを繰り返した。
19日にも、十数人の抗議者がイスラエル関連企業数社のブース前で抗議のアピールを繰り返した。会場の外でも、約130人が抗議の声を上げた。
日本の醜悪な姿勢
フランス政府は今年6月、パリで開催された兵器・防衛装備見本市「ユーロサトリ2024」へのイスラエル企業の参加を禁止した。
他方で、日本政府(複数の省庁)は今回の国際航空宇宙展を後援した。イスラエルによるガザ地区などでの国際法違反の暴虐を鑑みれば、「日本政府の対応には大きな問題があった」と言わざるを得ない。
さらに、防衛省(自衛隊)はイスラエル製攻撃型ドローンの購入を検討している。候補9機種のうち5機種がイスラエル製だ。
日本政府は、国連中心の国際立憲主義を追求してきたはずだ。だが近年はそうした姿勢を忘れ、米国の「分身」イスラエルに甘い姿勢を採り続けている。
そのため、日本は欧米「先進」諸国と共に、世界中の人々から対ロシアとの不整合を突きつけられ、「ダブルスタンダードだ」と批判されている。