社会新報

ロシアによるウクライナ侵略から1年で日比谷野音集会~ロシア軍は即時撤退を~核攻撃の脅しは許さない

福島党首(中央)ら国会議員4人などが登壇し、「ロシアは侵略をやめろ」のプラカードを掲げた(2月24日、日比谷野音)。

 

(社会新報3月8日号1面より)

 

 ロシアによるウクライナ全土への軍事侵略から1年になる2月24日、「ロシアは撤退しろ!」などと訴える市民集会が東京・千代田区の日比谷野外音楽堂で行なわれた。「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催した。
 小雨が降りしきる中、集会は午後6時半から行なわれ、約1000人が参加した。

反戦運動へ熱く連帯

 開会あいさつで「総がかり行動」の高田健さんは、「私たちはロシアの軍事侵略に断固抗議し、戦火の中で苦しむウクライナの人々と軍事統制下のロシアで『戦争反対』の抵抗を続けるロシア人民に連帯する」と宣言した。
 日本政府に対しては、次のように批判した。
 「日本政府は、ロシアのこの非道な戦争に便乗し、米国と結託して敵基地攻撃能力の保有などを含む憲法違反の『(安全保障関連)3文書』を閣議決定した。さらに、『台湾有事』などさまざまな口実をつけて東アジアでの軍事的緊張をあおり、軍拡や原発推進の動きを強めている」
 続いて、社民党の福島みずほ党首ら4人の国会議員などが登壇し、参加者と共に「ロシアは侵略をやめろ」などと記されたプラカードを掲げ、声を上げた。

平和国家日本の危機

 引き続き、5人が現場での経験を基に発言した。
 ジャーナリストの志葉玲さんは、ウクライナ東部での取材を終えて3日ほど前に帰国した。現地では、多くの住民が殺され、傷つけられ、町が破壊された現実を見聞きしたという。
 「戦争であっても民間施設や民間人への攻撃は戦争犯罪だ。ロシア軍はそうしたことを繰り返している。ロシアの暴挙を止めないとダメだ」
 ピースボート共同代表の畠山澄子さんは、国際支援の現場経験を踏まえて以下のように語った。
 「現地の人たちとつながり、彼らの声に耳を傾けつつも、戦争のリアル(現実)から目を背けてはいけない。長引く戦争の中でウクライナの市民が最も必要としているのは人道支援であり、一日も早いロシア軍の撤退と戦争終結だ」
 日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事の今井高樹さんは、ウクライナ危機に乗じた日本の「軍事」偏重の動きを、次のように批判した。
 「日本はこれまで、憲法9条を持つ平和国家として、世界で信頼を勝ち取ってきた。そうした信頼の中で、私たちの活動は現地の人々に受け入れられてきた。だが、そうした日本の平和主義が今、踏みにじられようとしている」

原発こそ戦争リスク

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は、ロシア軍がウクライナ国内の原発を軍事攻撃し占拠している現実を踏まえ、次のように語った。
 「原発への攻撃はロシアも批准するジュネーブ条約に違反している。だが、そうした条約があっても、戦争になれば無視されることが明らかになった」
 同情報室事務局長の松久保肇さんは、原発に関する日本政府の姿勢に対し、次のように批判した。
 「日本政府は、原発の新増設や運転期間延長などを含むGX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた基本方針を昨年末に作成した。現在、これを強引に推し進めようとしている。政府は福島第1原発事故の教訓を踏まえ、規制政策と推進政策を分離したはずだ。だが実際は、規制機関と推進機関が裏で一体化していた」
 原発の戦争リスクについては、次のように語った。
 「ウクライナ南部のザポリージャ原発は今もロシア軍に占拠されている。原発が軍事攻撃され、放射性物質が大量に放出されれば、周辺に人が住めなくなる。日本政府は防衛費を大増額する計画だが、日本中に原発をこれだけ並べて『抑止力を強化する』と言っても全くリアリズムに欠けている」

軍拡競争の懸念表明

 さようなら原発・原水禁の勝島一博さんが閉会あいさつ。「これまで積極的に積み重ねてきた核軍縮の取り組みは停止され、新たな軍拡競争に陥る可能性が生まれている」と懸念を表明した。
 閉会後、小雨の降る中、銀座方面にデモ行進した。
 参加者らは青と黄色のウクライナ・カラーのプラカードなどを掲げ、道行く人たちに「ロシアはウクライナから即時撤退せよ!」「戦争の標的になる原発はいらない!」などと訴えた。

 

小雨が降る中、銀座方面にデモ行進した。

 

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