声明・談話

【声明】敗戦76年にあたって

2021815

社会民主党党首 福島みずほ

 第二次世界大戦の終結から76年目の815日を迎えました。15年に及んだアジア・太平洋戦争は、310万人もの日本人の命を奪っただけでなく、日本の侵略と植民地支配によりアジア諸国をはじめ多くの国々に多大な犠牲と損害を与えました。戦争により倒れ、傷つき、苦しめられたすべての人々に、心から哀悼の誠を捧げます。また遺族の皆様、今なお戦争被害に苦しめられている皆様に、お見舞いを申し上げます。悲惨な戦争体験の上に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする」と決意し、制定されたのが日本国憲法でした。再び戦争の時代を招来させないよう努め、後世に継承していくことが私たちの責務です。

 昨年9月に安倍政権を引き継いだ菅政権も改憲を促進する姿勢に変わりはありません。先の通常国会ではコロナ禍に苦しむ国民・市民をよそに、火事場泥棒よろしく、平和や人権、民主主義の観点から重大な疑義のある諸法案の成立を相次いで強行しました。立憲野党がCMや運動資金などの規正の法制化を求め継続審議となっていた改憲手続法や安全保障上重要とした施設等の周囲約1km、国境離島を「注視区域」に指定し、所有土地取引や利用を調査・規制しようとする重要土地調査規制法が成立しました。前者は改憲への呼び水の役割を果たすものであり、後者は憲法が保障する基本的人権を侵害する恐れが極めて強いものです。

 沖縄は623日「慰霊の日」を迎えました。辺野古での新基地建設が沖縄県民の反対を押し切って進められていますが、今なお多くの遺骨が眠る沖縄本島南部の土砂が埋め立てに使われようとしていることに強い憤りの声が広がっています。さらに「台湾有事」「尖閣有事」を想定した南西諸島での基地建設の動きは看過できません。私たちは「沖縄を再び戦場にするな」の声をあげていきます。

 広島・長崎は原子爆弾の投下により一瞬にして廃墟と化し、1945年末までに21万人余りの尊い命を奪っただけでなく、被爆者は今も後障害や差別に苦しめられています。被爆者の願いは、今年1月に「核兵器は国際法違反」とした核兵器禁止条約が批准されたことにより大きく前進しました。ところが「唯一の戦争被爆国」である日本の政府はこれに背を向けるだけでなく、米国歴代大統領の「核の先制不使用宣言」の検討に強硬に反対したと報じられています。社会民主党は日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を強く求めます。また「黒い雨」に被爆した住民に被爆者健康手帳の交付を命じた広島高裁判決に対し、政府は上告見送りを決めました。戦後76年を経ての余りに遅い決断ですが、早急に被曝者全員の救済を具体化すべきです。

 いま日本だけでなく、世界がコロナ禍に見舞われています。日本は収束の兆しが見えないばかりか、712日から4度目となる緊急事態宣言が出され、東京五輪の開催と軌を一にして新規感染者数は爆発的に増加するという深刻な事態となっています。こうした事態に対して菅政権は新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症者以外は原則自宅療養とする方針へと転換しました。必要な医療が等しく受けられるという日本の優れた皆保険制度の放棄につながりかねないものであり、断じて許すことはできません。事態はこの間の自公政権による「自助」の押しつけと保健所などの統廃合の推進や75歳以上の高齢者の医療費の2割負担への引き上げにより深刻化しています。社会民主党はその政治責任を厳しく追及するとともに、「生存のための政権交代」を掲げ、今秋の衆院総選挙に勝利するため、全力をあげる決意です。