声明・談話

【声明】米軍普天間飛行場からのPFAS汚染水放出に対する抗議申し入れ

2021年8月30日

外務省特命全権大使(沖縄担当)橋本 尚文 様

沖縄防衛局長 小野 功雅 様

社会民主党沖縄県連合

代表 照屋 大河

 去る8月26日、在沖海兵隊は、米軍普天間飛行場で保管していた有機フッ素化合物(PFAS)を含有する汚染水を公共下水道に放出し始めた。政府、沖縄県、宜野湾市が排水しないよう求め、日米合同委員会で協議している最中の放出は、主権国家としての在り方が問われる重大事件だ。

 毒性、発がん性が指摘されるPFASは、自然界ではほぼ分解されず、体内に蓄積される。それゆえ、米国では使用が禁止され、国内ではPFAS含有汚染水は産業廃棄物として焼却されるのが一般的だ。

 米軍によって放出されたPFAS含有汚染水は「廃水」である。国が定めた暫定指針値は、飲料水や地下水、河川水に適用されるため、たとえ放出した汚染水の濃度が基準値以下であっても比較対象になじまない。

 今回、放出予定の汚染水の総量は約6万4千㍑で、ドラム缶320本分にも及ぶ。いくら浄化していようが、海洋放水で垂れ流された汚染物質が自然界に残留・蓄積される事実に変わりない。

 米軍は浄化装置での吸着・除去を排出根拠として説明しているようだが、日米地位協定が壁となり、日本側にこれら処理過程を子細に検証する術はない。浄化後に残ったPFASを焼却処理、あるいは基地内で保管した上で最終的に米本国に持ち帰るのであれば、そもそも自然界に放出する必要はないはずだ。

 当該汚染水の対応について、日米合同委員会で協議するその日に、米軍が一方的かつ「駆け込み」的に放出を通告・実行したのも大問題だ。もはや「信頼の毀損」などという表現では済まされず、「同盟違反」の誹りを免れない。

 日米地位協定が機能せず、この国の主権、県民の人権、沖縄の環境が蔑ろにされている事実を、政府はいかように受け止めているのか。今こそ「対等な日米同盟」を標榜する日本政府の本気度が問われている。米側への形式的な抗議や要請にとどめることなく、直ちに米軍に放出を中止させねばならない。

 社民党は、突っ込みどころ満載の米軍の「裏切り行為」に満身の怒りを込めて抗議し、下記について申し入れる。

  1. PFAS含有汚染水の放出を直ちに中止させること。
  2. 今般のPFAS汚染水の「処理」過程について、日本側(政府、関係自治体)の立ち入り調査を認めさせ、説明責任を果たすこと。
  3. 再発防止策に実効性を持たすため、日米地位協定の条文改正を米側に提起すること。

以上