2023年12月28日
社会民主党
幹事長 服部 良一
本日、斉藤鉄夫国土交通相が沖縄県名護市辺野古の新基地建設の設計変更を玉城デニー県知事に代わって承認する代執行を強行した。沖縄県民らの民意を踏みにじる行為であり、社民党は断固抗議する。行政不服審査法を悪用し国自らが申請し国が承認する手法で、地方自治を踏みにじる。まさに「地方自治に対する死の宣告に等しい」(沖縄タイムス12月21日社説)。代執行は年明けの1月12日ごろに着手のようだ。米軍による1950年代の「銃剣とブルドーザー」を想起させる暴挙である。
沖縄県は玉城デニー知事を筆頭に、辺野古新基地建設の設計変更を承認せず、軟弱地盤がある大浦湾側の埋め立て工事を止めてきた。しかしながら、新基地建設を強行する政府側が県知事に代わって設計変更を承認する代執行を求め今年10月に提訴した。そして、12月20日福岡高裁那覇支部は、国の主張を認め知事に対して25日までに変更申請を承認するよう命じた。
訴訟では、代執行の要件である「著しい公益侵害が明らか」かが争点となった。県側は「辺野古新基地建設に反対する明確な沖縄県民の民意こそが公益」であると主張したが、司法は「普天間飛行場の危険性を放置することは社会公共の利益を侵害する」と国側の主張を丸飲みする形で認めた。そして県民の民意については「県民の心情は理解できる」としつつ、「法律論として考慮し得るものとは言い難い」と切り捨てた。司法までもが、政府による辺野古新基地建設反対の民意や憲法で保障された地方自治の本旨を奪い取る代執行を追認した。
そして、政府は代執行を強行した。この代執行が前例となり今後基地建設などにおいて、自治体は国の言いなりとなり地方自治は失われてしまうのではないか。これは沖縄県だけの問題ではない。私たちの決定権が奪われてしまう恐れがあるのだ。
もちろん、沖縄県は敗訴したところで諦めてはいない。玉城知事は25日高裁で命じられた設計変更の承認を不承認した。そのため代執行となったが、社民党は玉城知事の不承認を支持する。また、昨日県は最高裁へ上告した。県側が逆転勝訴することは大変厳しい状況だが、党副党首の新垣邦男衆院議員が代執行訴訟判決後にコメントしたように「勝つことは諦めないこと」である。
社民党は知事と辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の皆さまと連帯し、辺野古新基地建設撤回まで全国で闘っていく決意である。