声明・談話

【談話】第211回国会開会にあたって

2023年1月24日
社会民主党 幹事長 服部良一

 1月23日第211回通常国会が開会した。昨年12月16日閣議決定した安保三文書と大増税予算によって日本の安全保障体制が大転換する中、国会では外交安保政策と軍拡増税が大きな焦点だ。また昨年は原発政策も大転換となった。再稼働を推進し60年越運転を認める法改正もある。その他、介護保険法改悪やコロナ5類移行問題、入管難民法やマイナンバー法改正など重要案件が目白押しである。

22年12月の消費者物価は42年ぶりの4.0%上昇、企業物価は10%以上の上昇と物価高はくらしに深刻な影響を与えている。一方で実質賃金は3.8%(22年11月)の減少、賃上げも年金も物価上昇には追い付かない状況だ。軍拡増税ではなくくらしが一番、岸田首相退陣の国会にするべく社民党全力を尽くしていきたい。

 1月23日国会開会初日、岸田総理は所信表明演説で安保三文書の決定と防衛費大幅増の決定を「防衛力の抜本的強化」として「日本の安全保障政策の大転換」だと認めつつ「憲法・国際法の範囲内で行うものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての我が国の歩みを、いささかも変えるものではない」と言い放った。詭弁を弄するにもいい加減にしてほしい。過去の政権は「憲法上の制約から他国に侵略的な脅威を与える武器は保持しない」ことをもって「専守防衛」としてきたではないか。

 今国会には防衛産業の国有化に道を開く「防衛産業強化法案」、学術研究の軍事化につながりかねない「日本学術会議法改正案」なども上程予定だ。日本の社会や経済・教育など丸ごと軍事化する危険な動きだ。

防衛予算は6兆7,880億円で昨年比26.4%の大幅増で、社会保障費に次ぐ大きい支出だ。しかも公共事業費の伸び0%、文教科学費0.5%と比較してダントツの伸びであるだけでなく、最も力を入れなければならない食料安定供給は-0.4%、中小企業対策は-0.5%とマイナスになっている。しかも重要なのは防衛予算はこれだけではないことだ。他に「防衛力強化資金」として3兆3806億円計上し、なんと合計では10兆1686億円、総予算114兆3812億円の8.9%、税収のなんと14.6%にもなるのだ。

 「防衛力強化資金」とは何か。今回政府は「防衛費の財源確保法案」を上程するが、未執行予算や積立金の返納、国有財産売却益、外国為替特別会計から繰入、国公立病院を運営する独立行政法人の剰余金などかき集めて防衛費に使おうと言うものだ。

 また財政法第4条で禁止されている防衛費への国債を認める歴史的転換にも踏み切り、建設国債4343億円で艦船や自衛隊施設に充てる。

 いのちやくらしに使うべき予算が削減され軍事費だけが膨張するー断じて認める訳にはいかない。

 「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田首相だが、「こども・子育て予算倍増」は6月の骨太方針で提示するとして中身が見えない。少子化が「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」と言いながら「何よりも優先されるべきは当事者の声」だと「意見を徹底的にお伺いするところから始める」となんとものんきな話だ。麻生副総裁が1月15日「少子化の最大の原因は晩婚化」だと発言し非難が巻き起こっているが、産みたくても産めない社会の解明と、それをもたらした政治の貧困こそ問題だ。

 数兆円と言う恒久財源も見えない。むしろ消費税増税の引き金にしようとする意図も見え隠れする。

 4月には日銀総裁が交代し、金融政策が変わり財政政策や国民のくらしにも大きな影響を与える可能性もある。岸田首相が標榜する「新しい資本主義」にも空疎な言葉が踊る。「物価上昇を超える賃上げ」「希望する非正規雇用の方の正規化」「日本型の職務給の確立」「成長分野への労働移動」、そして最たるものは「貯蓄から投資へ」の「資産所得倍増プラン」である。一体どこを見て政治を行っているのか、物価高騰と生活困窮で苦しむ国民・市民に寄り添う政治、お題目でない実効性のある政策が必要だ。

 老朽原発の60年越えの運転を可能とする「原子炉等規制法改正案」も極めて重大である。GX(グリーントランスフォーメイション)として脱炭素政策を原発推進とセットで進めるべく、12月22日GX実行会議で決定したのが「廃炉となる原発の次世代革新炉への建て替え」や原発の運転期間の延長である。3・11以降の原発政策大転換である。また、この春から夏には福島第一原発の汚染水の海洋放出も強行する構えである。「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とした地元漁漁協との文書を破棄する行為である。

 法務省は「不法残留」とする長期収容者の解消にもこだわり、「入管難民法改正案」を上程予定だ。むしろ見直すべきは世界でも異常に難民受け入れが少ない現状や、人権無視の「収容」実態など入管当局の差別排外主義、外国人追放政策ではないか。

 第8波の新型コロナ感染の真最中に発表された「5類」への移行方針も前のめり過ぎる。専門家からは早速「医療崩壊の懸念」「段階的に移行すべき」など意見が噴出している。政権のご都合主義で結論ありきの拙速な政策で苦しむのは一般市民だ。高齢者の死亡率が高い中、高齢者施設や医療・介護関係者、専門家など十分な意見と議論を抜きに進めるべきではない。

 総理は昨年大きな問題となった旧統一教会との政治の関係解明や解散命令には一言も触れていない。閣僚の辞任となった政治と金の問題しかりだ。あたかも何事もなかったかの様な姿勢では政治への不信は深まるばかりだ。

時代の変わり目となる重要な国会、日本の将来にとって悔いのない議論が今こそ必要である。社民党、しっかり期待に応えて行きたい。

以上