声明・談話

【談話】子ども・子育て支援法改正案衆議院通過にあたって

2024年4月22日

社会民主党

幹事長 服部 良一

 

  1. 4月19日、衆議院本会議にて子ども・子育て支援法改正案が賛成多数で通過した。本改正案は、岸田首相肝いりの政策である「異次元の少子化対策」を実現するための財源創設を主とする改正案だ。岸田首相は国民の負担を増やさないと豪語しているが、本法案は隠れ増税法案であり、社民党は反対である。
  2. 昨年12月に閣議決定された「こども未来戦略」に基づく本改正案は、少子化対策を実現するための財源として「子ども・子育て支援金制度」を創設する。岸田政権は少子化対策に必要な予算として3.6兆円と見込んでおり、その内訳は、既存の予算活用で1.5兆円、社会保障の歳出改革で1.1兆円、そして「子ども・子育て支援金」で1兆円としている。

    この「子ども・子育て支援金」は社会保険料の増額として私たちへ新たな負担を押し付けようとしている。支援金は、毎月平均で500円、所得によっては1000円公的医療保険料と合わせて徴収されるが、負担額をめぐり岸田政権は試算額を小出しで公表、これまで負担額に関する情報を誠実に開示してこなかった。岸田首相は、賃上げや歳出改革などにより、支援金を創設しても「実質負担ゼロ」となる答弁を繰り返してきた。しかしながら、賃上げが続く保障はなく、中小零細企業は賃上げが追いつていない。さらに、支援金は労使折半が前提であり、事業主の支援金負担が賃上げを抑制する恐れもある。岸田首相の「実質負担ゼロ」はまやかしに過ぎない。支援金は私たちに新たな負担増をもたらす事実上の増税である。

  3. 本改正案により、児童手当の所得制限が撤廃されたことは「子育ての社会化」の観点から評価できる。一方で、新たに創設される「こども誰でも通園制度」については、保護者が一時的に休養できる側面はあるが、保育士の負担増加が懸念される。保育士の処遇改善や保育園の受け入れ体制を整備することが先であろう。
  4. 岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」は私たちに負担を押し付けることしか考えていない。その政策の中身も給食費の無償化問題など不十分なままである。また、少子化対策の財源となる社会保障の歳出改革は、高齢者の介護・医療費負担増加による社会保障削減が含まれている。社会保障を拡充するために、別の社会保障を削減させることはあってはならない。

    また、岸田政権は防衛費を今年度7.9兆円とするなど、岸田政権の軍拡路線が私たちの生活を苦しめている。防衛費を削減することで、支援金が無くとも少子化対策の財源を確保できる。社民党は、私たちにさらなる負担を求める支援金制度の廃止に向け、「税金はくらしに。軍拡NO!」の声を上げていく。

 

以上