2024年12月2日
社会民主党
幹事長 服部 良一
- 11月28日第216回国会が招集され、12月21日までの24日間の臨時国会がスタートした。物価高による生活困窮や、9月下旬に能登半島を襲った豪雨災害などへの迅速な対応が求められていたにもかかわらず、自民党の党利党略による解散総選挙強行によって、臨時国会の開会がここまで遅くなったことに憤りを禁じ得ない。他方で、強行された第50回衆院選の結果、自民党・公明党は過半数を得られず、少数与党政権となった。さらには、衆議院予算委員会など立憲民主党ら野党が7つの衆議院委員会の委員長を占めており、今度こそ本来の「熟議の国会」になると期待されている。
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11月29日石破首相は所信表明演説を行った。冒頭、石橋湛山元首相の所信表明演説を引用し、市民の多様な意見を反映した各党派へ丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成を図っていくことを政権運営の基本方針とした。しかしながら、石破首相の所信表明演説全体からは、自民党・公明党の与党にとって都合の良い一部野党だけを尊重し、自公政権へ取り入れていこうという魂胆が透けて見える。
たとえば、先の衆院選で躍進した国民民主党が求める「103万円の壁」引き上げや、「ガソリン減税」の見直しを検討することを表明したが、他方で同じく躍進した野党第一党の立憲民主党や社民党ら他の野党が強く求めている「企業・団体献金禁止」や「政治資金パーティー禁止」、「選択的夫婦別姓制度の実現」などは所信表明に盛り込まれていない。自公政権にとって都合のよい野党の意見を丁寧に聞いているだけであり、石破首相からは石橋元首相ほどの懐の深さを見出せない。
石破首相は、外交安全保障において、各国との対話を重ねていくとしつつも、防衛力の抜本的強化を進めていくとのことだ。2022年末、当時の岸田首相が強行した安保3文書によって、相手国の基地を先制攻撃できる「敵基地攻撃能力」保有などが進められている。この軍拡路線を継承していくのでは、近隣諸国を刺激するだけで、対話を重ねていくことは不可能である。石破首相の外交安全保障政策は破綻している。
また、石破首相は「地方創生」や「防災対策」に力を入れており、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することや「防災庁」設置などを訴えた。しかしながら、GXの名のもと、原子力発電を脱炭素電源と位置付けていることはあり得ない。東日本大震災での福島原発事故により故郷を奪われ、今もなお帰還できない多くの住民がいることに石破首相は心を痛めないのか。原発は「地方創生」にならず、「防災」上もあってはならないものだ。
- 所信表明演説を受けて国会では本格的審議がスタートする。本国会では、およそ14兆円規模の補正予算案や「政治資金規正法改正」、そして「103万円の壁」問題などが重要な議題となる。社民党は、補正予算案が能登半島の復興や物価高で苦しむ市民生活にとって果たして本当に効果的な予算案であるのか、自民党の金権腐敗政治を終わらせる規正法改正となるか追及していく。「103万円の壁」については見直しが求められる一方で、壁の拙速な引き上げによって地方財政の悪化や高額所得者を優遇するなど新たな問題が生じてはならない。丁寧な議論を積み重ねていくべきである。
本国会は、自公の過半数割れを最大限活かしていける国会であり、自民党政治では実現できてこなかった物価高対策などの緊急経済対策、選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現、女性差別撤廃条約選択議定書批准、国内の人権救済機関創設、再審法の改正、紙の健康保険証の存続、介護保険の立て直し、給食費無償化、日米地位協定の見直しなどなど喫緊の課題を実現していくことに社民党は尽力していく。ぜひとも「チャンスの国会」にしていこうではないか!
以上