声明・談話

【談話】GX脱炭素電源法成立に強く抗議する

2023年6月1日

社会民主党幹事長 服部 良一

福島県連合代表  狩野 光昭

 

 5月31日、参議院本会議で「GX脱炭素電源法」が賛成多数で成立した。本法は、脱炭素電源確保、電力安定供給を理由に原発を最大限活用し推進するものであり、社民党は断固反対である。

 

 本法の問題点は、①原発の運転期間について、現行原子力規制委員会所管の原子炉等規制法で規定しているが、経済産業省所管の電気事業法へ移管する。さらに、運転期間について「原則40年、最長60年」の大枠を維持するとしつつ、原子力規制委員会の審査などで停止した期間を計算から除外して60年を超えて運転できるようにする。しかも運転期間の延長認可は原発を推進している経済産業相が行うものとなっている。②原子力基本法の改正により、電力安定供給の確保、脱炭素社会実現のために原発の活用に必要な措置をとることを「国の責務」と位置付け、国が原発活用の姿勢を前面に押し出すものであり認めることはできない。

 

 そもそも、政府は「第六次エネルギー基本計画」において東京電力福島第一原子力発電所事故を教訓に「原発依存度を可能な限り低減する」ことを方針にしていた。しかし、今年2月10日の閣議決定で「原発を最大限活用」するとの方針を転換した。その上での本法成立である。原子力発電は、平時でも核のゴミの最終処分場が明らかとなっていない問題がある。東京電力福島第一原子力発電所事故では、今なお故郷に戻れない多くの避難民を生み出しただけでなく、大量のトリチウム汚染水が生じ、汚染水を福島の海へ海洋放出しようとしている。新たな風評被害と環境破壊をもたらす愚行である。このように、原子力発電は私たちのいのちと暮らしを脅かすものである。

 

 本法は、原子力災害を被りいまなお復興渦中にある被災地の思いを踏みにじるものである。東日本大震災・原発事故後,福島県は「原子力に依存しない,安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を復興の理念として掲げ,再生可能エネルギーの導入拡大と関連産業の育成・集積を復興の柱に位置付けてきた。今回の原発活用方針の転換は、原発全基廃炉を実現し、廃炉を前提とした被災県の復興計画と相矛盾する。福島の復興なくして日本の復興なしとする国のスローガンは虚飾であり、国の政策がもたらした原発事故の反省と教訓を反故にした福島忘却宣言に他ならない。

 

 社民党は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を無きものにし、原発に回帰する本法に断固反対し、脱原発の日本を実現するため全力をあげる決意である。