正体隠し政治を歪める統一教会 ~ 党プロジェクトチームで有田芳生さんが適確に指摘
社会民主党の「国葬反対! 政治と旧統一教会の関係解明プロジェクトチーム」が11日、参院議員会館で開かれ、統一教会問題を長年取材してきたジャーナリストで前参院議員の有田芳生さんを講師に招き、講演会を開催した。オンラインも含め多くの市民が参加した。
◇
大椿ゆうこ副党首が司会を務めた。冒頭、福島みずほ党首があいさつ。「社民党は文科相が統一教会の解散請求を裁判所に出すべきであると考えている。法律で悪質な献金を規制し、被害者の救済を一緒にやっていきたい」と述べた。
「悪質献金防止法」を
立憲民主党代表代行で旧統一教会被害対策本部長の西村智奈美衆院議員が「悪質献金被害救済法案」の趣旨説明を行なった。「30年間に及ぶ政治の不作為を本当にこのタイミングで何とかしなければならない。この法案の肝はマインドコントロール下での献金行為を規制する内容だ」と説明し、
「この法案の野党共同提案を目指して今各党各会派の皆さんに説明にうかがっている」と強調した。
続いて、ジャーナリストの有田芳生さんが講演。冒頭、「社民党の会議で話をするのも、『月刊社会民主』に執筆したのも初めてのこと。ありがとうございます」と述べて話を始めた。
有田さんは、「安倍元首相が銃撃で亡くなって3ヵ月が経った。最近の若いマスコミ記者は統一教会についてほとんど知識がないところから出発している。1992年の合同結婚式で桜田淳子さんが話題になったことくらいは知っていても、統一教会とは何かを今の若い記者たちは知らない。そこで基本的な知識を得る書籍として、私の著書『統一教会とは何か』(92年刊)の改訂新版を出版した」と述べた。
コリアゲート事件も
有田さんは、統一教会の歴史を概観した。
「実は統一教会の歴史は68年もある。1954年に韓国で世界基督教統一神霊協会として文鮮明教祖が結成した。68年間の中で、日本における霊感商法や献金強要の問題はごく一部だ」
1976年に発覚したコリアゲート事件に言及。韓国中央情報部KCIAが実業家を介して米国政界に贈賄工作をした。文鮮明は同事件で暗躍。「日本人の信者たち700人が訪米。『ニクソン大統領頑張れ! ウォーターゲート事件に負けるな』と訴え、国外退去になった。コリアゲート事件についての米国下院のフレイザー委員会の調査報告書は、統一教会には宗教の顔もあるが、金融や輸出入、拳銃の製造など、多国籍企業のような存在であり、南米のゲリラ組織とも関連もある準軍事的な組織であると分析した。日本で私たちが見ているのは政治との癒着、霊感商法、献金強要、そして信者の苦しみだが、もっと広い世界がある」
有田さんはさらに、ウコンのドリンク缶を手に持って掲げながらこう語った。
「コンビニで販売しているウコンエキスのドリンク。今は大手食品メーカーから発売されているが、実は2004年から20年までは統一教会系の企業が製造していた。統一教会系の企業は私たちの日常の身近にいっぱいある」
自民は「打つ手なし」
また、有田さんは岸田内閣と自民党の現状に関し、「世論調査をやればやるほど、岸田内閣の支持率がどんどん下がっている。自民党の人に聞くと『出口がない。打つ手がない。じっと我慢するしかない』と言っている。統一教会問題は、自民党にとって、かつてのロッキード事件やリクルート事件を上回るスキャンダルだ。統一教会に一番近かった下村博文や山谷えり子などの国会議員の新たな事実が次々に明らかになるだろう」と指摘。
最後に新垣邦男副党首があいさつし、「解散命令を実現したい」としめくくった。(文責は編集部)