(社会新報2月8日号3面より)
岸田政権は1月27日、新型コロナの感染症法上の分類を5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決めた。
新型コロナウイルスの国内での感染が確認されてから3年余りが経過したが、収束のめどは立っておらず、国内では第8波といわれる感染拡大状況が沈静化していない。先月末には1ヵ月の死者数が1万人を超えた。ところが政府は、今回の決定の科学的根拠を示していない。責任回避といわざるを得ない。
方針どおり実行されたらどうなるか、今から不安や怒りの声が上っている。「全医療機関が診療するというが、院内感染リスクや診療報酬の加算などが今後なくなることが想定され、コロナ患者を診る医療機関が減るのではないか」「昨年感染した際は、医療費の自己負担はなかった。今後、検査や治療にまとまったお金がかかるとなると、受診控えが起きないか」(1月28日付の各紙)といった危惧する声だ。
政府は病床不足が問題となっているにもかかわらず、21年の通常国会で病床削減を加速化するための法改正を行なった。これを受け、約1500の公立・公的病院のうち約30%に当たる436ヵ所が削減対象とされ、削減が進んでいる。医療体制の強化とは真逆の政策だ。
今回の決定に対し、社民党は服部良一幹事長の談話「コロナ感染症の5類引き下げ、国の責任後退は許さない」を発表した。談話は「いま必要なのは、医療体制の強化であり、高齢者施設などへのPCR検査を徹底し、第8波を沈静化させることだ。社民党は国の責任を後退させる決定に抗議し、いのちを守る視点から決定の見直しを迫っていく」としている。
今年4月には、4年に1度の統一自治体選挙が戦われる。県知事・県議・政令市議の投票日は4月9日、一般市の首長・議員の投票日は4月23日となる。
この間、どの自治体もコロナ対策に追われてきたが、後手後手で命を軽んじる対応に終始した政府の姿勢に翻弄(ほんろう)されたといってもいい。この間の政府や各自治体のコロナ対策はどうだったのか。統一選での重要な争点となる。
社民党は今月18日、第13回全国代表者会議を開く。向こう1年間の方針、とりわけ統一選必勝への決意を固め合う重要な会議となる。コロナ対策を含め熱心な討議を期待したい。