(社会新報3月1日号3面より)
ロシアによるウクライナ侵攻の勃発から2月24日で1年が経過した。今年2月12日までのウクライナでの民間人の死者は7199人、ロシア軍の兵士の死者は4万人とも6万人といわれる。
無残に破壊された街並みや肉親の死亡に泣き崩れる人々の姿を映像などで見るにつけ、一日も早い停戦とロシア軍の撤退が実現し、平和なウクライナが戻ることを願わずにはいられない。
今春にロシア軍が再び総攻撃をウクライナにかける見方が強まっている。戦争の泥沼化、長期化が懸念される。
1月末になって、米国とドイツが、ウクライナ政府がかねてから求めていた主力戦車の供与を発表した。今後、戦闘機の供与を行なう可能性も高まっている。他方、ロシアが核の使用に手を染めるのではないかとも心配されている。
核戦争や世界戦争を誘発する契機とならないことを願うばかりだ。「軍事支援よりも『外交支援』」(纐纈厚山口大学名誉教授)を求めたい。
日本政府はロシアのウクライナ侵攻に便乗して「敵基地攻撃能力」の保有など、「専守防衛」をかなぐり捨てて大軍拡を進めようとしている。世論も残念ながらこうした動きを肯定的に評価している世論調査の結果が出ている。
2月9日に共同テーブルが主催して開かれた連続シンポジウム「新しい戦前にさせない」で山城博治さん(ノーモア沖縄戦・命どぅ宝の会共同代表)が、基地強化が進む沖縄の世論の変化を報告した。
具体的には、▽玉城県知事が「『敵基地攻撃能力』保有に基づく長距離ミサイル配備に反対」と表明▽石垣市議会で野党議員が提出した「反撃能力を持つミサイル配備は容認できない」とする意見書に一部の保守系議員も賛成し採択▽日本最西端の与那国島で長射程ミサイル配備計画に「誘致したのは沿岸警備隊で話が違う」との反対の声が拡大 を挙げた。
事実上、平和憲法の否定につながる「政策の大転換」にもかかわらず、15年の安保法制(戦争法)反対闘争の時のような盛り上がりとはなっていない。
しかし、沖縄のように、粘り強い取り組みのなかで、反対の声は確実に広がっている。その役割の一端を社民党は果たす決意だ。
社会新報ご購読のお申し込みはこちら