社会新報

【主張 】検察は自民「政治とカネ」で徹底捜査を-菅原一秀氏の議員辞職-

(社会新報2021年6月16日号3面《主張》より)

 

自民党の「政治とカネ」問題はもはや底なし状態だ。

菅原一秀前経済産業相(同党を離党)が3日、衆院議員を辞職した。選挙区の東京・練馬区内で公職選挙法に違反する寄付を行なったとして、東京地検に8日、略式起訴された。

菅原前経産相の不法行為は常態化していた。2006~07年の贈呈先リストには安倍前首相や菅前官房長官ら政治家、選挙区の東京・練馬区内に居住する有権者など239人の実名が記載されていた。盆暮れが近付くと、菅原氏の秘書たちはこのリストでメロンやイクラ、カニなどの贈答品を有権者に配り歩いた。費用は年間200万円以上に及んだ。資金は、菅原氏が代表を務める政党支部の銀行口座から支出されたにもかかわらず、収支報告書には記載されず、裏帳簿で処理されていた。

さらに選挙区内の斎場で公設秘書が香典を渡した事実も発覚し、菅原氏は19年10月25日、経産相を辞任した。

公選法では、議員の名前が書かれた香典袋を秘書が代理で持参した場合、「寄付の禁止」規定に違反し、50万円以下の罰金、最長5年間の公民権停止の罰則が適用され、当選も無効となる。

ところが、東京地検は昨年6月、明白な公選法違反の疑いにもかかわらず、菅原氏を起訴猶予処分とした。大臣を辞任したことを考慮しての判断とされる。

これに対して、東京第4検察審査会が今年2月24日、地検が容疑内容を絞り込み過ぎだと批判した上で、「起訴相当」と議決した。

検察による再捜査の結果、寄付した額は新たに50万円を超え、特捜部は起訴する方針に転じた。

菅政権発足以降、同党国会議員の辞職は4人に及ぶ。鶏卵汚職で略式起訴された吉川貴盛元農水相、参院選広島選挙区での買収で起訴された河井克行元法相(公判中)と河井案里元参院議員、そして今回の菅原前経産相。河井陣営には自民党から1億5000万円の巨額資金が渡ったが、安倍前総裁がどう関与したのか、未解明のままだ。

「桜を見る会」疑惑では、安倍前首相の元秘書が政治資金規正法違反で罰金刑を受け、統合型リゾート(IR)をめぐる収賄罪と証人等買収罪に問われた秋元司・衆院議員は公判中だ。

検察にはこうした「政治とカネ」の腐敗事件に徹底した捜査を求めたい。

 

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