日本で生まれながら在留資格を与えられなかった在日外国人の子どもたちに、斎藤健法相が裁量で在留特別許可を与える方針を示したことについて、弁護士グループが8月7日、衆院第二議員会館で会見を行なった。弁護士らは、齋藤法相の方針に一定の評価をしつつも、「不十分」と批判した。
退去強制を受けたり、難民認定申請中などで在留資格を持っていない在日外国人の親を持つ子どもたちも、在留資格がなく「仮放免」状態となっている問題について、先の通常国会で野党側は繰り返し改善を求めた。子どもたちに特別在留許可を認める齋藤法相の今回の方針について「入管を変える!弁護士ネットワーク」の指宿昭一弁護士は、「入管庁の抵抗があっただろう中での法相の迅速な対応は評価したい」と述べた。他方、今回の方針が、あくまで特例とされることについては「今後は(在日外国人の)送還がスムーズに行なわれるという前提なのだろうが、今後も(日本生まれの在日外国人の在留資格に関する問題は)起き得る」として、「今回限り」であることを批判した。
同ネットワークの駒井知絵弁護士も、齋藤法相の方針が「日本生まれの子どもに限定されているのではないか」と懸念。「幼少の時に日本に来た子ども達を取りこぼすことがないよう強く申し上げたい」と訴えた。親が不法入国であるなど、「看過できない消極的理由がある場合」に、その子どもの在留も認めないとの齋藤法相の方針についても、「(条約での)子どもの権利はそんなに軽いものではない」と批判した。
同ネットの高橋済弁護士は、「親の責任によって子どもが在留できないということは、欧州人権裁判所の判例でも、ほとんどない」として、「野党の入管法改正案のように一定期間、日本にいた子どもたちの在留を認めるべき」と述べた。
会見では日本で生まれ育ったガーナ人クアテン・ユニスさん(23)が発言。「いつもお金がなく、保険証もないので病院に行けなかった」と、仮放免で就労が認められず住民票がないことで苦しんできた思いを語った。